200人超が熱狂した「深夜の徘徊」

 新しい遊び方のハイライトともいえるのが、入場者の3割以上が参加する店内周遊型ミステリーツアー『月明かりの書店と呪われた原稿』だ。

ミステリーツアーで使用する冊子
説明を受けて謎解きに挑む

 参加者は探偵となり、自身のスマホでストーリーを追いながら、書籍検索機「KINOナビ」を駆使、ときに書店員の助けを借りながら、隠された真実を探し回る。深夜の書店でヒントを探しながら歩き回る大人たちは、探索を通して物語を体感していた。

スマホを連動させてストーリーを追いかける。謎解きの手がかりのために用いるのは紀伊國屋書店の書籍検索機「KINOナビ」

 姉弟で参加したという二人は、興奮冷めやらぬ様子で語る。

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「今日はすでに湘南で謎解きイベントを2つハシゴして、ここに来ました。このツアーは謎解きというより没入型エンタメですかね。最高に楽しめました!」

姉弟で参加した2人は筋金入りの謎解きイベントファン

 静かに本を読むだけが読書体験ではなく、「物語の中に入り込む」体験がそこにはあった。

「ヤバいキャバ嬢の本」が売れる実演販売

 ミステリーツアーだけでなく、店内の各地で繰り広げられるトークイベントにも多くの人が集った。

佐伯ポインティ氏のトークショーの様子

 なかでも長時間に渡って盛り上がり続けていたのが、佐伯ポインティ氏による「本の実演販売ショー」だ。客席との対話から即興でおすすめ本を叩き売るこの企画。「どんな本が好きですか?」という問いに、参加者が「恋愛モノ」と答えると、佐伯氏は少し考え込み、ニヤリと笑ってこう切り出した。

「じゃあ……家の本棚に殺人犯にまつわる本しか置いていない、ヤバいキャバ嬢の本なんですけど……」

  そして紹介したのは『死にたくなったら電話して』(著:李龍徳)。

「恋愛」というオーダーに対し、変化球すぎる提案。しかし、この即興性こそネット書店にはない醍醐味だろう。その場にいた観客たちが、一斉にその本を手に取りたくなる空気が醸成され、おすすめされた書籍を購入する参加者の姿が、そこかしこにあった。

トークショーに集う人々

「普段は本をあんまり読んでいなくて、動画で情報収集することがほとんどなんですが、好きな演者がトークショーに参加していたので今日はここに来ました。

 推しの推しを、推してもらうなんて貴重すぎる機会じゃないですか! もちろん本も買って帰りますよ!」

 鼻息荒く購買意欲を明かしてくれた男性もいた。