ほとんどの人が寝ていない「午前4時の奇跡」
時刻は丑三つ時を過ぎ、午前3時、4時。
人間の理性が最も緩み、睡魔が襲う時間帯。主催者は7階を「休憩フロア」として開放し、ピラティスマット、サウナマットを配布していた。
筆者はここで、屍のように眠る参加者の山を見るものと予想していた。
しかし――休憩している人は参加人数に比してごくわずか。マットに座り込んでいた女性は「普段、本屋さんで座り込むことはないので不思議な気持ち。本の圧を感じますね」と笑ったが、大半の参加者はまだ各フロアで、本に、ミステリーツアーに、トークショーに目を輝かせていた。
眠気よりも「知的好奇心」や「イベントの楽しさ」が勝っているということなのだろう。
スタッフが明かした「謎」
イベント終了間際、夜通しレジを打ち続けた書店スタッフに話を聞くと、興味深い「現場の実感」が返ってきた。
「いつものお客様より、一人当たりの購入冊数が明らかに多いんです。それに、店内が荒れていないんですよね。本を愛している皆さんが集まっているからですかね」
そして、別のスタッフはこう語った。
「意外だったのが……『紀伊國屋ポイントカード』を使われる方が少ないんです」
これは何を意味するのか。
集まった750人は、「常連客」だけではなかったということだ。「普段は紀伊國屋書店に行かないが、面白そうなイベントがあるなら行く」「本は好きだが、最近はAmazonで済ませていた」――そんな潜在層が、この祭りに呼び寄せられたという可能性は決して低くないだろう。




