キヤノンのトップを約30年続けている御手洗冨士夫氏(90)が、社長の座を小川一登副社長(67)に譲り、会長兼最高経営責任者(CEO)に専念することになった。
好業績で「老害批判」をはね返し、会長と社長を兼務してきたが、ようやく後継者を決めた。「経営者は会社を成長させ、株主の期待に応えるのが仕事だ」と強気で通してきたが、株主総会で自分の年齢や女性の役員起用の遅れを指摘され、トップ続投に51%しか賛同を得られなかった年もあった。
だが、創業一族出身であることに加え、経団連会長まで務めた御手洗氏だけに、「社内では雲の上の人。側近の副社長たちも後継者問題にはとても口出しできない」(キヤノン幹部)とされてきた。
「自分の経歴と重なる小川氏に…」
早くから後継者選びを促してきた人物が一人だけいる。御手洗氏が「経営の師」と仰ぐ奥田碩元トヨタ自動車会長(93)だ。経団連会長の前任者であり、御手洗氏の改革志向を評価し財界トップに抜擢した。御手洗氏はその恩義を忘れず、「今でも年3、4回は2人だけで会食し政財界の動向を伝えている」(財界筋)という。
奥田氏は10年ほど前から「後継者を決めるのも経営者の大事な仕事だ」と折に触れて説いてきた。御手洗氏もいたずらに居座っていたわけではない。社長の座を譲った後継者が病気で退任を余儀なくされたこともあり、内心はずいぶん悩んでいたとされる。
社長に就く小川氏は海外営業の経験が長く、米国、中国、シンガポールなどで実績を積んだ。米国で23年過ごした御手洗氏は「自分の経歴と重なる小川氏に早くから目をかけていた」(元経団連副会長)のは確かで、本命の登板に意外感はない。特にキヤノンUSA社長だった小川氏が、コロナ禍でどん底まで落ち込んだ米国での業績をV字回復させてからは、社長交代は秒読み段階に入っていた。
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この続きは「週刊文春電子版」で配信中。小川氏を次期社長に選出した理由、社長交代を念頭に御手洗氏がテコ入れした「2つのビジネス」など、詳しく報じている。

キヤノン御手洗冨士夫氏(90)が社長退任前にテコ入れした2大ビジネス《小川氏に白羽の矢が立ったワケ》《後継者選びの裏に「経営の師」と仰ぐ人物》
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