レンタルビデオ市場が最盛期から84%も縮小し、ライバルのTSUTAYAが事実上レンタル事業から撤退する中、なぜゲオホールディングスは生き残り、さらなる成長を遂げたのか。
その秘密は、創業者が遺した“2つの言葉”にあった。「そのときのゲオを私は救えないでしょう」——危機を予言した父の言葉に、2代目社長・遠藤結蔵が下した決断とは? 野地秩嘉氏によるビジネスノンフィクション『セカストの奇跡 逆襲のゲオ』(プレジデント社)より、ゲオが起こした奇跡の逆転劇を紐解く。
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「誰が社長をやったとしても…」2代目が迫られた“苦渋の決断”
遠藤結蔵が社長になった2011年以降、ゲオの本業であるビデオレンタルのビジネスは潮が引くように売上が落ちていった。エンタテイメントの世界では配信サービス、サブスクサービスが伸びて、レンタルビデオ店に足を運ぶ人は減っていった。
一般社団法人日本映像ソフト協会の「映像ソフト市場規模及びユーザー動向調査2022」によると、映像ソフト市場におけるレンタル市場の割合は、2007年の3604億円から2022年には572億円にまで84%も減少している。その後もこの傾向は続いているだろう。
ビデオレンタルの業界ではゲオと並んでいたツタヤはレンタル事業より、蔦屋書店、蔦屋家電といった店舗事業に注力している。あるいはポイント事業で得たデータベースマーケティング事業を柱にしている。加えて佐賀県の武雄市図書館などの公共施設の運営を行っている。すでにレンタル事業には見切りをつけたのだろう。中核のFCチェーンはビデオレンタル事業からは撤退した。
遠藤結蔵が社長になったのはそうした状況に陥る直前だった。誰が社長をやったとしても、新しい事業を始めなくてはならない環境だった。本来は継承者として会社を成長させる役目だったのが、それだけでは済まなかった。創業者として新分野へ出ていかなければならなかった。事業創出を行わなくてはならない状況に追い込まれたのである。
そんな時、遠藤結蔵がかみしめたのは父親が遺したふたつの言葉だった。
