「これ、いったい誰が買うのか」。熊が鮭をくわえた木彫りの置き物、フランス人形、こけし――昭和の家庭から消えた品々が今、セカンドストリートの店頭に並んでいる。

 著者が10店舗近くを巡って目撃したのは、500円、700円で買える衣料品の山と、「捨てようと思っていた」あらゆる品物に値がつく光景だった。“いらないもの”が価値を生む、その驚きのビジネスモデルとは? 野地秩嘉氏によるビジネスノンフィクション『セカストの奇跡 逆襲のゲオ』(プレジデント社)より抜粋してお届けする。

セカンドストリート(セカンドストリート公式サイトより)

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人は買いたいのではなく売りたい時代

 2024年から1年半、わたしは10店近くのセカンドストリートを見に行った。ある店ではダウンパーカを売り、ダウンベストを買った。買い取り価格は3000円。買った価格は8000円。しかし、1度しか着ていない。着ていないうちに、「着てやろう」という意欲が失せたので、売りに行くつもりだ。

 人は着ていない洋服に魅力を感じなくなるのか。それとも、着なかったのは潜在的に「買わなければよかった」と思っているのか。わたしの場合は両方の気持ちだ。

 セカンドストリートの店は大型店も見に行ったし、平均とされる200坪の店も行った。地域でいえば札幌の店、福岡の店も訪ねた。10店近く見に行ったうちで、もっとも楽しかったのはスーパーセカンドストリート大宮日進店だった。

 とにかく大きな店で、衣料・服飾雑貨に限らず、楽器、スポーツ用品、家電まで揃っていた。そして、「これはいったい誰が買うのか」といった品物もあった。北海道の土産品のかつての定番、熊が鮭をくわえている木彫りの置き物があった。博多人形もあった。ガラスケース入りフランス人形もあった。こけしもあった。徳利と盃のセットで、徳利の表面に短歌が筆文字で入っているものもあった。

 昭和の時代、わたしの自宅にもあったが、すべて廃棄した品々がそこに並んでいた。買いたいとは思わなかったが、なぜ、これは“あんなに売れていたのだろうか”と感傷的な気分になった。

写真はイメージ ©︎tamu1500/イメージマート

 スーパーセカンドストリートには他の小売店やネット販売店には絶対に置いていない商品が並んでいる。そして“物を捨てずにおけば誰かが買ってくれる、そういう時代になった”とはっきりわかった。自宅にある「捨ててしまおう」という品物にはちゃんと価値がある。捨てるくらいなら、スーパーセカンドストリートに売りに行くことだ。