おっとりしたかわいい声との“ギャップ”

 レイの音楽的なアイデンティティを語る上で欠かせないのが、その多面性だ。彼女はIVEでラップを担当しており、普段のおっとりとした可愛い喋り声からは想像しにくい、低めボイスで澱みないラップを披露する。彼女にとっては外国語である韓国語や英語をも駆使して畳み掛けるそのスタイルは、グループの楽曲にエッジを効かせるスパイスとなり、専門家からも高く評価されている。レイの“ビタースイート”な魅力のうち“ビター”が光る部分だ。

IVE公式Xより

「曲ごとに全く違うバイブス」

 一方で、実はかなり歌えるボーカリストでもある。それを証明したのが、韓国のシンガーソングライター、イ・ムジンがホストを務める音楽番組『リムジンサービス』への出演だった。1人でデビュー曲「ELEVEN」の全員分のパートを歌いあげ、カバー曲でも圧倒的な表現力を見せた。MCのイ・ムジンは、「(レイの歌声は)曲ごとに全く違うバイブスを感じる」と評したが、筆者も同感だ。本人がどこまで自覚的かはわからないが、彼女は曲の持つトーンやストーリーに合わせて、歌い方や発声を細かく変化させているのである。

 一番顕著なのは、YouTubeでも公開されている、ORIGINAL LOVEの「接吻-kiss-」のカバーだろう。IVEの初のワールドツアー『IVE THE 1ST WORLD TOUR 'SHOW WHAT I HAVE' 』の東京ドーム公演でも披露された曲で、一切のクセや力みを排除したストレートな表現方法かつ“スイート”な声で歌う彼女に、意外性を感じたファンもいたのではないか。

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ORIGINAL LOVE「接吻-kiss-」をカバー(IVEのYouTubeチャンネルより)

孤独と活動休止を乗り越えて“再生”―22歳のレイが描く新章は?

 10代での単身渡韓に鮮烈なデビュー、そして異国の地で掴んだ確固たる人気。一見すれば、彼女の歩みは順風満帆、無敵の快進撃に見えるかもしれない。しかし、華々しい活躍の裏側には、かつて体調不良により活動休止を余儀なくされた、苦しい経験もある。言葉も文化も異なる環境で、期待という名の重圧と戦いながら、彼女がどれほどの汗を流し、孤独と向き合ってきたか。レイの立ち振る舞いやパフォーマンスに、どこか達観したような印象を覚えるのは、人の何倍もの濃密な経験を積み重ねてきたからかもしれない。

 今日で22歳。リリース目前のアルバム『REVIVE+』の名の通り、レイはさらに成熟したアーティストとして、新しく「生まれ直そう」としている。

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