選挙が始まって1週間が経った。メディアには「短期決戦!」という勇ましい言葉が踊り、高市解散戦略に乗っているようだ。その中で、今回記しておきたいのは、高市首相へのツッコミ役の急先鋒が朝日でも毎日でも、ましてや読売でもなく、日本経済新聞であるということだ。新聞読み比べマニアとしては見逃せない展開なのである。

高市氏 ©時事通信社

 日経は以前から「財政規律が大切」「消費税を下げるなら財源を示すべきだ」と主張してきた。最近はそこに、円安の進行や国債の長期金利の上昇といった市場の動きを根拠として加え、「減税や財政拡張は市場の不安を高めかねない」とする論調を強めている。

ロイターも海外向けに高市首相の発言を配信

 そんななか注目を集めたのが、高市首相の「円安ホクホク発言」だ。首相は1月31日の街頭演説で、円安について「外為特会の運用は今ホクホク状態だ」と述べた。円安で政府が保有する外貨資産の評価益が膨らむことを指したものだが、輸入物価の上昇といったデメリットには触れなかった。

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 この発言は日本経済新聞が報じ、ロイターも海外向けに配信した。日本の首相が円安のメリットを強調した発言として注目された格好だ。首相はその後、「為替変動に強い経済構造を目指す趣旨だ」と釈明している。

 その直後、高市首相はNHKの日曜討論を腕の痛みを理由に開始直前で欠席した。結果として、あらためて「ホクホク」発言が注目されることになった。

 首相発言が実際のところどうなのか知りたくてもわからない、という状況は、選挙の大きな争点の一つである消費税にも通じる。

 自民党は食料品の税率を2年間ゼロにすると掲げ、他党からは消費税廃止論まで出ている。ところが、高市首相の第一声では、消費税への言及がなかった。

 解散表明会見では、消費税減税を「私自身の悲願」とまで言っていた。悲願であれば第一声で触れてもよさそうなものだが、なぜか沈黙した。