高市首相のキャラクターは実は一貫している。昨年の「午前3時の勉強会」後に飛び出した台湾有事をめぐる発言もそうだ。政府が事前に用意した答弁書には「答えない」と明記されていたにもかかわらず、首相は踏み込んだ。歴代首相が守ってきた戦略的曖昧性を超えた発言だった。解散の経緯も党内有力者に相談していなかったというが、独断、ワンマン性が、どの話題からも透けて見える。

メディアは討論会の再設定を提案すべき

 そして気づけば、議論は置き去りにされたままだ。消費税も、本来は国会で徹底的に論じられるべきテーマである。ところが高市首相の言葉から繰り返し浮かび上がるのは、「話し合う前に決めたい」「決めるために信任がほしい」という姿勢だ。

高市氏 ©時事通信社

 さらに選挙中の「ホクホク」発言など、その真意を聞こうにも、本人は他党と同席する場に出てこない。メディアは討論会の再設定を提案すべきではないか。

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 こうして首相の言葉の真意が見えないまま、議論は宙づりにされ、選挙だけが進んでいく。その間、有権者は「判断材料のないまま判断を求められる」という、最も居心地の悪い場所に置かれている。

 福島での「政権は行き詰まっている」という発言は、国会の現状を嘆いた言葉にも聞こえる。しかし、行き詰まっているのは政権運営そのものではなく、議論を省略しようとする姿勢ではないのか。これを回避するために解散総選挙に持ち込んだが、消費税論議を見ても論戦になっているとは言いがたい。今回の解散ではっきりしているのは、問いそのものをズラそうとする首相の姿勢ではないか。結局そこに戻る。なぜ今、選挙なのか。

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