雪が多すぎて冬に閉まるスキー場が、新潟県に存在する。1〜3月という本来の繁忙期に営業を止め、開くのは雪の少ない時期だけ。しかも現地へ向かうには、22km続く薄暗いトンネル道路を通らなければならない。

 なぜ、こんな場所にスキー場が造られたのか。その答えは……。人気YouTuberのもへじ氏による初の著書『ニッポンの土木 執念の難工事』(彩図社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む

写真はイメージ ©getty

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冬に閉鎖する「ナゾのスキー場」

 新潟県には、冬になると閉鎖するスキー場があるのをご存じだろうか。

 そのスキー場は毎年、雪がたくさん降るはずの1月~3月に閉鎖してしまう。理由は、スキー場として使うにも雪が多すぎて整地が追いつかず、埋もれてしまうからだ。

 そのため、このスキー場の営業期間は、12月の降り始めから正月までの間と、3月下旬からゴールデンウィークの終わりまでの間という、非常に珍しい形をとっている。

 また、スキー場への道もなかなか奇妙である。

 スキー場へ向かうには22kmも続く長い県道を通らなければいけないが、そのほとんどがトンネル区間であり、終わりが見えない。このトンネルもなかなかに曲者で、幅も中途半端に狭く、壁は素掘りで岩が剥き出しになっており、天井からは地下水がポタポタと垂れてくるため、路面は一年中濡れていて滑りやすい。

開通当時日本一、現在も素掘りでは日本一のトンネル(画像:筆者提供)

 道も直線が続くと思ったら急カーブが突然現れる。いくつものトンネルが連結しており、一応トンネルの中に転回所はあるものの、一度入ったが最後、スキー場がある道路の終点まで22kmを延々と走らされることになる。

突然現れる不気味な急カーブ(画像:筆者提供)

 そして、オレンジ色のナトリウムランプが、トンネル内を不気味に照らしている。YouTubeでは「日本一怖いトンネル」と紹介されることもあるが、あながち間違っていない。実際に雪崩や凍死などで殉職者44名を出した「ホンモノのいわく付きトンネル」である。

 なぜそんな場所にトンネルが造られたのだろうか。

©新潟県,CC BY-SA 4.0, adapted from original.
https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/uonuma_kikaku/tadamisen-001.html

 上の写真を見ると、スノーボードでジャンプしている青年の後ろに巨大なダムがそびえ立っている。

 これが日本最大の水力発電所・奥只見発電所の「奥只見ダム」だ。