アマチュア時代の北陣親方は明るく、話し好きだったというが、現役時代はメディアと距離を置いていたことでも知られる。取組後に言葉を発することすら稀で、喜怒哀楽を表情に出すこともなかった。10年以上も沈黙を続けたのはなぜだったのか。
「入門してからいろんな方々の映像を見ると、昔のお相撲さんはあまり多くを語っていませんでした。相撲は相手がいるからこそ成立するものだという敬意が根底にあるからではないかと思います。そう気づいた時、アマチュアの頃の気持ちでは駄目だと思いました」
「相手に情報を渡してしまうことにもなる」
けがに抗い続けるために、目の前の取組に全力を尽くすために、メディアと距離を置かざるを得なかったとも言えるだろう。
「実のところ、あること、ないこと、けがの場所、程度、詳細といったことを記者の皆さんに記事にされるのも嫌でした。相手に情報を渡してしまうことになるので。当時は記者の皆さんが聞き出したことを僕は言いたくなかったわけです。記事が書きにくくて、記者の皆さんには申し訳なかったです。すみませんでした」
やると決めたら、やり切る。その性格は少年時代から変わらないという。2月10日発売の月刊文藝春秋3月号、および月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」掲載の北陣親方インタビュー「元小結・遠藤『やり切る、抗う心』を語る」では、少年時代の冒険の思い出を笑顔で振り返っているほか、能登半島地震で被災した故郷・石川県への思いなどを、率直に語っている。
出典元
【文藝春秋 目次】芥川賞発表 受賞作二作全文掲載 鳥山まこと「時の家」 畠山丑雄「叫び」/忖度なき提言 高市首相の経済政策/緊急座談会 暴君トランプの新帝国主義
2026年3月号
2026年2月10日 発売
1650円(税込)

