11月23日に九州場所が千秋楽を迎える大相撲。その大相撲を裏側で支える「呼出」の幅広い仕事について、ベテラン呼出の克之氏が語った。(取材・構成=佐藤祥子、グラビア記事「土俵を築る」もあわせてご覧ください)

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“呼出”にはどのような仕事が?

 中学を卒業した15歳で大相撲界に飛び込み、今年で47年目を迎えます。毎年九月秋場所後に行司や呼出、床山らの昇格人事があるのですが、このたび呼出の最高位である「立呼出(たてよびだし)」となりました。

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 呼出と言えば、協賛企業の着物に裁着袴(たっつけばかま)を穿き、取組前に「東〜◯◯ ◯◯〜 西〜×× ××〜」と東西力士の名前を呼び上げる姿を大相撲中継などで目にし、思い浮かべる方が多いでしょう。また、「水付け」と言いますが、土俵に上がる関取が力水を付けたり、タオルで汗を拭いたりする際に補助をするのも私たちの仕事。土俵の進行に気を配り、懸賞旗を持って土俵上を回ったりもします。ですが、実はテレビに映る仕事はほんの一部で、呼出には他にもいろいろな役割があります。

立呼出に昇進した克之氏 ©ワンダン・ダワー

 そのひとつが土俵を造ることです。これを“土俵築”と呼び、年6回の本場所の土俵はもちろんのこと、45部屋ある各相撲部屋の稽古土俵も、番付発表日までに呼出が集まり造っています。そして、三月大阪場所後の春巡業、七月名古屋場所後の夏巡業、九月秋場所後の秋巡業、十一月九州場所後の冬巡業では、巡業本隊に帯同する呼出とは別動隊の呼出が現地に先乗りし、土俵を造る。終わったら次の巡業地に移動してまた土俵築をする、“旅暮らし”でもあります。