現実政治をも動かすピーター・ティール
また独裁者宣言をしたトランプ大統領が、国内や他国に様々な暴力を行使するのを見るにつけ、ティールは、第二の道の全体主義=「ハルマゲドン(最終戦争)」に加担しているのではないかという批判も当然ありうるだろう。加えてトランプ政権下では、ナショナリズムと結合したキリスト教が、排外的な暴力を抑止するどころかドライブさせかねないという懸念もある。
そもそもパランティアの由来となった、トールキンの『指輪物語』に登場する過去や未来を見通し、人々を監視できる魔法の石「パランティーア」もまた、悪意ある者に操られ、使用者を破滅に導きうるものだった。パランティアは現在、イスラエルやイギリスなど、国家単位の軍事活動のために製品を供給している。要するに現実においては、第三の道は限りなく第一、第二の道と表裏一体の危険な道に見える。もちろん科学技術とは本質的にそのようなものなのかもしれないが。
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おそらくティールはわかった上で、こうした両義性を好んでいる。アメリカ合衆国は「反キリスト」(第一の道)にも「カテコーン」(第三の道)にもなり得ると彼は言い、トランプ大統領は「カテコーン」なのかという質問に対しては明言を避ける。AIもまた「反キリスト」の候補であると同時に「カテコーン」の候補でもある。
ハルマゲドンを抑止するために軍事関連企業を経営し、独裁者を志向する大統領の補佐に部下(JD.ヴァンス)を送り込むティールは、自分が行なっている「管理」はリスクヘッジであり、あくまでも第三の道を採っていると言うだろう。『ワンピース』でルフィが救世主となることを楽しみにしている彼には、改めて「あなた自身は幼な子のようにキリストに倣う覚悟はあるのか?」と問いたくもなる。
[1] 『新共同訳 新約聖書』日本聖書教会、1987年版。



