ハリウッドの技術者たちが目をつけたであろう“あるポイント”

 候補となっているのは、豊川京子(ヘアメイク)、日々野直美(歌舞伎メイク)、西松忠(歌舞伎床山)の3名。ハリウッドの映画産業で特殊メイクやヘアメイクに携わる映画芸術科学アカデミーの会員にとって、“外国映画”あるいは“外国人”である彼らを評価している点は重要です。

『国宝』の劇中では、吉沢亮と横浜流星が歌舞伎の演目を演じることが話題になりました。その姿を、私たち観客は10分前後の場面として観ているわけですが、実際には何日もかけて撮影されていることをハリウッドの技術者たちは知っています。そういった視点から、舞台上で演目を演じる際のメイクの統一性が困難である点を高く評価したのではないかと考えられます。

 特殊造形を構築するような派手なメイクではないけれど、繊細な熟練の技術が必要なのだと理解された。つまり『国宝』におけるメイクやヘアスタイリングの技術は、同時に候補となっているハリウッド作品と同等であるとプロの視点で評価されたというわけなのです。

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 ちなみに『アグリーシスター 可愛いあの娘は醜いわたし』もノルウェー・デンマーク・ポーランド・スウェーデン合作による非ハリウッド映画でありながら、その特殊メイクが評価されている作品です。

 先日、トム・クルーズが『国宝』上映会を開催したと報じられました。ここに集ったハリウッドの映画人たち(映画評論家や映画ファンではない点が重要です)が『国宝』に投票した可能性も高く、彼の功績も讃えたいところです。