義母と義妹への強制わいせつ、虚偽の告白で家族を犯罪に巻き込み、通電で支配する――。北九州監禁殺人事件の首謀者・松永は、金と罪悪感、そして家族関係そのものを利用し、人々を逃げ場のない地獄へと追い込んだ。その異常な支配の内側に迫る。
暴力で築き上げた「完璧な支配構造」
事件の発端は1997年、内縁の妻である緒方が自分から逃れようと行方をくらませたことに松永が激怒したことだった。松永は緒方の両親と妹を呼び出し、緒方が殺人に関与していることを告げるとともに自身の死亡を偽り、緒方をおびき寄せることに家族の協力を強要した。そして松永は「殺人犯を匿う」という名目で家族から毎月多額の金銭を要求し、目標額に達しなければ容赦なく通電の罰を与えた。
松永の支配はさらに深化していく。緒方の妹の元警察官の夫には当初一定の距離を置いていたが、「あなたの妻は隠れて浮気している。俺はあなたの味方だ」と嘘をつき、信頼を勝ち取ると同時に、Bさんの遺体解体現場のタイル張替え作業を行わせることで殺害の証拠隠滅に加担させた。さらには、緒方の母親、妹と強引に肉体関係を結び、そのことを家族に公表して夫婦・親子間を分断させた。
地獄のような共同生活
やがて松永は緒方、被害者A子さんを含む9人での共同生活を開始。序列を定め、下の者は上の者に通電などの罰が施されるよう定めたため、全員が上の地位を得ようと死にもの狂いになった。松永への密告も頻繁に行われ、室内に盗聴器を設置したことをほのめかしたため、彼のことを悪く言う者はいなくなった。
松永の支配は徹底していた。真冬でも半袖の服を着用させ、部屋の移動は匍匐前進を強要。小便はペットボトルや浴室で行わせ、大便は1日1回と制限し、食事中には蹲踞の姿勢を崩さないよう命じた。それに逆らえば、家族間での通電の虐待が待っていた。
この地獄のような暮らしの中で、1997年12月から1998年6月までの間に、緒方の父親、母親、妹、妹の夫、妹の息子、妹の娘の6人が次々と殺害された。殺人の歯車は止まらず、支配者の命令で家族は互いに殺し合わされた。
悪夢の終わりは2002年1月30日、最初に殺害されたBさんの娘で当時17歳になっていたA子さんが隙をつきマンションを脱出したことだった。しかし松永は彼女を連れ戻し、首を絞めたり通電を受けさせたりと激しい拷問を加えた。それでも彼女は同年3月6日、再び祖父母宅へ逃亡。通報を受けた警察により、翌日松永と緒方が逮捕された。
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