京都のディスコ「マハラジャ祇園」に約500人が集った打ち上げで、挨拶に立った都倉は、業界が一つになり成功させたことを評価した上で、「あんなに仲が悪かった5団体が垣根を越えて……」と口にし、関係者を苦笑させたという。栗田が振り返る。
「各団体の設立経緯も違いますし、権利処理等での意見の相違などが垣根になっていたのでしょうか。もちろん都倉長官のジョークではありましたが、確かにここまで大きな一つのことをみんなが協力し合ったのがとにかく初めてだったので(笑)」
邦楽の視聴回数が伸びている
日本の音楽業界は長らく世界の音楽シーンから隔絶し、閉塞したムラ社会と化していた。だが、K-POPとコロナ禍という外圧を受けて苦闘しながら、ついに団結し世界に向けて動き出した。MAJはその記念すべき第一歩と言えるだろう。
だが、これは始まりに過ぎない。この10年、CDの生産実績やストリーミングなどを合わせた国内売上はあまり変化がなく、24年で約3300億円(日本レコード協会調べ)だ。一方、コンサート売上は6121億円(24年、ACPC調べ)と10年で2倍になっている。音楽の楽しみ方が「サブスクで安く聴き、ライブ体験にお金をかける」というスタイルに変わったのだ。
これは世界的な潮流だ。野村が語る。
「かつてCDは3000円で約10曲入りでしたよね。1曲あたり300円。それがサブスクだと1曲1回聴いて1円程度にしかならない。極端に言えば我々が頑張って作った1曲の価値が300分の1以下になっている。じゃあ、その差をどう補うんだと我々も迫られているわけです。
だったら海外に面積を広げなきゃいけないんじゃないか。東南アジアでは日本の音楽がブレークする兆しが出てきているし、今までハードルが高かったアメリカ、ヨーロッパでも、Ado、米津玄師、YOASOBI、BABYMETALといったアーティストがツアーをやって、アリーナクラス(1万~2万人規模)が埋まるレベルまで来ています」
※約1万字の全文では、音楽業界の重鎮たちが音楽輸出の戦略を語っています。月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2026年3月号に掲載されています(髙橋大介「ドンなき後の芸能界 K-POPに負けるな——日本の音楽業界は変わるのか」)。この他にも、「文藝春秋PLUS」では多数の関連記事を掲載しています。
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出典元
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2026年3月号
2026年2月10日 発売
1650円(税込)

