――「遠藤フィーバー」は重荷には感じませんでしたか。

 北陣 そのように感じていた時期もあったかもしれません。でもそれ以上にたくさんの声援をいただきました。やっぱり「幸せ」という一言以外で例えられませんよね。

現役時代は国技館前に「顔はめパネル」が並んだ(写真は2015年) Ⓒ時事通信社

 ――実際に闘ってきた身として、相撲の醍醐味は何でしょうか。

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 北陣 しっかりと白黒が付きますし、勝敗が決まるまでの時間が早いです。もちろん長い相撲もありますが、それはそれでまた醍醐味です。いずれにしても白黒がはっきりしているので、見ているお客さんも本当に分かりやすいと思います。

 九州場所前に引退してからは花道で警備の仕事をしていますが、「お客さんはこのくらいの目線で見ているんだな」と、また違った角度で興味深く大相撲を感じています。現役の間は花道にいても、相撲のことしか考えていませんでしたから、とても新鮮です。

楽しいという感覚はなかった

〈日大3年の時に右膝前十字靭帯断裂の重傷を負い、角界入りしてからは、幕内上位に定着しつつあった2015年春場所五日目の松鳳山戦で逆の左膝が同じけがに見舞われた。いずれの怪我も手術を選択せず、後に自らの状態を「翼がない」と表現。忍耐と創意工夫で一日一日を乗り越えてきた。〉

インタビューは初場所前に行われた Ⓒ文藝春秋

 ――力士として相撲を取っている時、楽しいという気持ちはありましたか。

 北陣 スタートから片方の膝がないようなものだったので。(日大時代の)20歳くらいから楽しいという感覚はなくなりました。それまではいろいろと習得して、どんどん成長していく実感がありました。できないことができるようになったとか、やろうと思ったことが実行できるようになったとか、そうなるとだんだん楽しくて充実しているという気持ちになります。

 でも膝をけがして、そうならなくなってからは、何と言うんでしょうか……。「抗う」ですかね。本当にずっと抗ってきました。起きてしまったことに抗うしかなかった。

※本記事の全文(約6500字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(北陣聖大「元小結・遠藤『やり切る、抗う心』を語る」)。全文では、以下の内容をお読みいただけます。
・口を閉ざした理由
・故郷・石川に寄り添い続ける
・慣れ親しんだ景色が変わった

文藝春秋

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元小結・遠藤「やり切る、抗う心」を語る

出典元

文藝春秋

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