日本国民に愛されている国技・相撲。しかし、土俵の裏側でどんなことが起きているのか、力士たちがどんな生活を送っているのかを知っている人は、少ないのではないだろうか。

 ここでは、相撲界の裏話と感動秘話を綴った朝日新聞記者・抜井規泰氏の著書『白鵬はなぜ嫌われなければならなかったのか だれも知らない角界不思議話』(講談社+α新書)より一部を抜粋。大横綱白鵬が、悪役視されるようになった理由を紹介する。(全2回の2回目/1回目から続く

元横綱・白鵬

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横綱審議委員会が問題視した「審判部批判」

 白鵬に対する悪役視は、強まるばかりだった。

 白鵬も、やらかしてしまった。

 千秋楽を待たずに大鵬の優勝記録を超えた2015年初場所。その千秋楽の翌朝だった。張り詰めた心を解き放ち、美酒に酔いしれた白鵬が「審判部批判」をやらかしてしまった。

 取り直しとなった13日目の稀勢の里戦について、「子どもが見てもわかる相撲」と発言した。これを横綱審議委員会が問題視。北の湖(きたのうみ)理事長が、師匠だった当時の宮城野親方(元幕内竹葉山)を通じて白鵬を注意した。

 その時の映像を見ると、白鵬が寄り倒した瞬間、まさに目の前の西溜まりで勝負を見つめていた横綱鶴竜(かくりゅう)(現音羽山親方)は、寄り倒した瞬間に「勝負あり」と確信し、立ち上がって西の花道に歩き始めている。

 子どもでもわかるかどうかはともかく、目の前で見ていた鶴竜にはそう見えた一番だった。いずれにしても、批判された白鵬は貝になった。そして、さらなる「問題」が起きる。