《首相が今後もごく一部の側近とだけで秘密裏に重要な意思決定を行う「宮廷政治」の状況が生み出されれば、首相の決断する方向性に対してネガティブな情報は集まりにくくなり、重大な政策や政局判断を見誤る公算が大きくなってくる。》(朝日新聞デジタル版 2月14日)
「高市首相は国会が苦手なのか、議論がイヤなのか」
今回の選挙の結果、自民党は300議席超という巨大与党となった。となると権力の行使には逆に抑制的な姿勢も求められる。しかし議論やプロセスの軽視と思える姿勢がどんどん出ている。
たとえば社会保障についての「国民会議」が怪しい。首相は国民的議論が必要だとして就任直後に訴えたが、当時は少数与党だった。野党の協力を得ようという姿勢に見えたが、衆院選で大勝した今、「国民会議」は結論を急ぐための装置と化していないか。国民会議ではなくそもそも国会で論議すれば良いと思うのだが、この流れは以前から薄々感じていた「高市首相は国会が苦手なのか、議論がイヤなのか」という疑念にも符合する。
先週末には「首相、武器輸出の国会事前承認を否定」というニュースもあった。防衛装備品輸出ルール緩和を巡り、武器の輸出について国会の事前承認を求められたのに対し、国家安全保障会議の審査を経て政府が主体的に判断する考えを示したのだ。
公式サイトのブログ約1000本が一斉削除された件もそうだ。理由は「ずっと更新できていなかったため」。だが直前に過去の発言が検証されていた。説明に納得できる人はどれほどいるだろう。これらに共通しているのは「議論を広げる」よりも「させない」姿勢である。
人付き合いが悪いと言われた石破氏は熟議を掲げた。結果は怪しかったが、そうした姿勢は見せていた。では高市首相はどうなのか。巨大与党を背に、孤高は独断へと変わらないか。今、けっこう重要な分岐点の気がする。
