名古屋市在住のガラス作家・大河内愛美さん(30)は、レックリングハウゼン病(神経線維腫症1型)という指定難病とともに生きている。肌にあらわれるカフェオレ斑と呼ばれるしみや良性の腫瘍が特徴的な症状で、小中学校時代には「バイオ」「キモい」「死ね」といったひどいいじめを受けた。しかし、夢だったガラス工芸の道を歩み、現在は積極的に病気について発信を続けている。

名古屋市在住のガラス作家・大河内愛美さん(30) 写真=細田忠/文藝春秋

 大河内さんが自分の病気を知ったのは高校1年生の時。「肌の症状について、ずっと気になっていたので『カフェオレ斑』でキーワード検索をしたら、一番上に出てきたのが『レックリングハウゼン病』『難病』という言葉で『自分はこの病気なのかな?』と思って」と振り返る。

 小中学校でのいじめは凄惨だった。「小学生の頃はずっと男子から『バイオ』と言われてました」「中学校でも入学して2日後くらいには、もう他の小学校から来てた男子にまで『キモい』『死ね』と言われるようになって」。女子生徒からの直接的な攻撃はなかったものの、「2人きりなら話してくれるけど、男子の前では無視される感じ。人の多い場所では距離を置かれていました」という状況だった。

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 つらい学校生活を支えたのは、小学6年生の時にテレビで見たガラス工芸への憧れだった。「この人たちを見返したい、という気持ちはあったと思います。『あなたたちとは住む世界が違うんだ』って思っていました」。その思いは現実となり、名古屋芸術大学にストレートで合格、「やっとガラスができる、って。水を得た魚みたいでした」と大学生活を謳歌した。

憧れの俳優との出会いが人生を変えた

 大河内さんが病気について公表するきっかけとなったのは、意外にも俳優の大東駿介さんとの交流だった。中学3年生から大東さんのファンだった大河内さんは、インスタグラムで「今ガラス作家をしていて、いつか有名になったらお仕事ご一緒したいです」とコメント。それをきっかけに大東さんから返信をもらい、実際に舞台の楽屋で会うことまで実現した。

「『行動すれば夢って叶うんだ』と強く思ったんです。それで『私の難病のことも発信したら受け入れてくれる人がいるかもしれない』という思いに至りました」。2018年から始めた発信では、病気の説明だけでなく体の写真も公開した。「正直怖かったです。でも思っていたより悪意のある反応は少なくて」と振り返る。

最近撮影されたという大河内さんの背中(写真:本人提供)

 ガラス作家として創作を続ける傍ら、学童保育でも働く大河内さん。彼女の発信は、自身の経験を伝えるだけでなく、まだ病気に気づいていないかもしれない人々へのメッセージでもある。「日本には約4万人の患者がいると言われています。私の発信が、誰かが検査を受けるきっかけになれば嬉しいです」。

 そして、彼女には今も追い続ける夢がある。「憧れの大東駿介さんと対談や講演をするのが目標です。5年以内に実現させたい」。その夢もまた、行動すれば道は開けるという彼女の強い信念につながっている。

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