放射能の影響…弔いもできず

葛藤は、命を奪った後も終わらない。
福島県内では、一部地域を除き、野生動物は放射能の影響で出荷制限や接種制限がかけられ、食材として活用することができない。
「命を奪っているわけなので、本来は家畜と同じく食料にしてもらった方がまだマシだけど、残念ながらここの地区はそうはいかない」と男性は語る。

駆除された野生動物は焼却される

駆除した動物は、震災後に増加した野生動物を適正に処分するために設立された「有害鳥獣焼却施設」へと運ばれる。「獣でもおいしく食べられるのであれば、弔いにもなるのではないか」と、活用できない命への無念さをにじませた。

理解されない現実と匿名の理由

猟師の役割は、必ずしも社会から理解されるものではない。行政には、野生動物を駆除しないことを求める声も寄せられているという。
「全然仕事にならないくらいクレームの電話がいっていたわけで、あえて顔や名前をおおっぴらにしないのは、そういうこと」と、男性は匿名を条件とした理由を明かした。

「理解してもらえないのはとても残念だよ」

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誰かがやらなければ…葛藤が続く

それでも男性は、かつて命を育んできたその手で、引き金を引く。
「故郷を捨てる気はない。元に戻れなくなってしまったけども、でも勇気を出して戻ってきて生活している人もいる。その人たちのために、助け舟ではないけども、少しためになることやれればいいなって。でもやっぱり、誰かはやらないといけない」
猟師たちの静かな祈りの先に、この土地の暮らしが続いている。

(福島テレビ)

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