とりわけ首相の覚えがめでたいのは……

 木原氏に次いで、首相と近い関係にあるのが尾﨑正直氏と佐藤啓氏の両官房副長官だ。尾﨑氏は旧大蔵省出身で、安倍第一次政権下で官房副長官秘書官を務めた。それを知る首相は総裁選で政策の柱を組む際に尾崎氏を頼った。高知県知事経験者で地方への目配りもでき、多方面に顔が利く。「まっすぐな性格で、器が大きい。霞が関からも『話が通じる相手』として貴重な存在」(経済官庁中堅)。「将来の総裁候補」と気の早い声も聞こえてくるが、「酒癖が悪いのが最大の欠点。要職を担うのであれば禁酒すべき」(同)。これが永田町と霞が関の総意だ。

官房副長官の尾﨑正直氏 ©文藝春秋

 佐藤氏はとりわけ首相の覚えがめでたい。総務省出身で旧安倍派。22年の安倍氏の暗殺事件は参院選での佐藤氏の応援演説中に起こった。首相が信頼を強めたのは、保守分裂となった翌23年の奈良県知事選だ。五選を目指す現職の荒井正吾氏と、首相の総務相時代の秘書官、平木省氏で割れた。

「当時県連会長だった首相が事前の根回しを怠ったため、荒井氏側が反発し分裂を招いた。しかも国会で放送法問題の対処に追われ、地元入りは選挙最終盤だった。結果的に維新公認の新人候補が当選。佐藤氏は選挙期間中ずっと首相の代わりに平木氏に寄り添っていた」(総務省幹部)

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官房副長官の佐藤啓氏。紹介文は「文藝春秋PLUS」でお読みください ©文藝春秋

 しかし、裏金議員の1人であるにもかかわらず要職に起用したことが野党の猛反発を受け、参院の議事に出入り禁止に。機能不全に陥った。

「こうなるのは明白だったのに、首相がゴリ押しした。党は同じ奈良選出の堀井巌参院議員を代わりに副長官に提案したが、頑として受け入れず、党内には『だから言ったのに』と白けたムードが充満した」(同)

秘書官就任の打診を固辞した今井尚哉氏

 衆院解散をお膳立てした“黒幕”だったのが、安倍政権の首相秘書官として権勢を振るった今井尚哉氏。首相が秘書官就任を打診したが固辞し、内閣官房参与に就いた。

内閣官房参与の今井尚哉氏。紹介文は「文藝春秋PLUS」でお読みください ©文藝春秋

「現政権では、聞かれたことに対し、様々な選択肢を提示するアドバイザーとしての側面が強い。衆院解散の“黒幕説”が出ると、慌てて火消しに回っていた」(官邸筋)

 現在はキヤノングローバル戦略研究所研究主幹の肩書を持ち、なぜか投資会社ジャパン・アクティベーション・キャピタルの取締役でもある。

※「高市政権 お友達ゼロの参謀名鑑」では、総勢26名のキーパーソンを似顔絵付きで紹介しています。約3900字の全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2026年4月号に掲載されています。

出典元

文藝春秋

【文藝春秋 目次】高市政権「お友だちゼロの」参謀名鑑〈似顔絵イラスト付き〉/三宅香帆 高市総理の秘密は「文体」/安青錦 師弟対談

2026年4月号

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