京都大学を卒業後、水道やガスが通っていないフィリピン「カオハガン島」に単身で移住した杉浦佑子さん(37)。40年前まで貨幣経済がほぼ存在しなかったという島で、彼女は現地の男性と結婚し、2人の子どもを育てる母親となった。異国の地での結婚生活は、日本の常識が通用しない驚きの連続だったという。

最初にカオハガン島を訪れた際、ホストファミリーとの1枚。前列左から2人目が杉浦さん(写真提供=本人)

京大卒の女性が「島への移住」を決意したきっかけ

 杉浦さんは栃木県で生まれ育った。海外に興味を持ったきっかけは、中学生の時に見たテレビ番組だったという。

「黒柳徹子さんがアフリカを訪問して現地の事情をレポートする内容でした。自分の意思ではどうにもできない環境のせいで、夢が叶わなかったり、幼くして命を落としてしまったりする子どもたちがいる。その事実がすごく衝撃的で、『何かできることはないか』と思い、将来は国際協力の道に進みたいと考えるようになりました」

ADVERTISEMENT

 その後、京都大学へ進学。就職活動に苦労して思い悩むタイミングで、カオハガン島に行く機会があった。もともと親戚がボランティアで行ったことがあり、存在自体は知っていたという。

「ホームステイみたいに島の家庭を訪問したり、そこで船に乗せてもらって釣りに行ったりしました。就活を通して自信がなかった私を、これまでの経験や肩書とか何も関係なく、ありのまま受け入れてもらえたのがとってもうれしかったですね。失っていた自信を少し取り戻せたような気がしました」

 その後も何回か訪問しながら、島への移住を決意していった。

珊瑚に囲まれた美しい環境が人気を博し、日本からの旅行客も少なくないカオハガン島

「離婚できない国」で驚いたことは……

 杉浦さんが移住したフィリピンは、法律上「離婚」ができない国である。厳密には「結婚自体をなかったこと」にする手続きは存在するが、「気が遠くなるようなお金と時間がかかる」と杉浦さんは話す。そのため、結婚の誓いは文字通り重い意味を持つ。

 杉浦さんは、島の人の結婚観についてこう語る。

「フィリピンでは、結婚して一緒になると決めたら、その愛をどう維持していくかに重きを置くんです。結婚後は『好きな理由があるから一緒にいる』というよりも、『一生一緒にいると誓ったのだから、そこに理由は関係ない』という感覚に近いかもしれません」

 日本のように「関係の維持を諦める」=離婚という選択肢がないからこそ、関係を維持することに全力を注ぐのだ。

移住後、現地の男性と結婚。2人の子どもを出産した

 結婚後、最初に衝撃を受けたエピソードを聞くと、こんな話をしてくれた。

「最初にビックリしたのは『服がなくなる』ことでした。長男が生まれてから、夫の実家で暮らすようになったのですが、赤ちゃんの服がいつの間にかなくなるんです。探してみると、家の中には見当たらなくて……」

 服だけでなく、同じようにいつの間にか食器がなくなることもあったという。

 一体なぜ、服や食器がなくなっていったのか? 杉浦さんが最初は理解できなかったというカオハガン島ならではの文化や、水道もガスもない島での暮らしぶりなどは、下記のインタビュー全文からお読みいただけます。

次のページ 写真ページはこちら