過去で一番台本を読み込んだ
演技力には定評がある山時だが、佑の気持ちを理解するために過去で一番台本を読み込んだと話す。
「人生のなかで一番台本を読み込みました。視覚的なセリフからだけでは佑の気持ちの深いところまで理解するのが難しかったので、繰り返し台本を読みながら『ここは、本当はどう思っていたんだろう』と考え続けました」
菅野美穂との共演も大きな経験になったという。
「現場では菅野さんのお芝居に、鳥肌が立ちっぱなしでした。菅野さんはリハーサルから本番まで毎回100%のお芝居でいらっしゃるので、少しも油断できないんです。テスト撮影から僕自身も想像以上の力を引き出していただき、本番ではいつも一番いい芝居ができたと思えました。菅野さんには感謝しかありません」
完成試写で感動のあまり…
母と息子の“距離感”も込められたタイトルの『90メートル』。「人との距離は、近いか遠いかだけでは測れない。距離感が一致したときに居心地がいいと言えるのだと思う」と話す山時は、ラストシーンで、監督の演出とは異なる芝居を見せた。
「ラストシーンは早めにカットを出されたので、やり直しかと思ったらOKと言われました。あれでよかったのか不安でしたが、『佑の決意を感じる前向きなカットになった』と言っていただき、安心しました」
完成試写では大泣きした。
「隣でご覧になっていた菅野さんも感動されていました。僕にとってもたくさん悩み、たくさん考えて作り上げた、大切な作品です。将来観たときに自分の10代を振り返る代表作になると感じています」
杉山拓也=写真
西村咲喜=スタイリング
髙橋幸一(Nestation)=ヘアメイク
衣装協力:ニット、チェックシャツ、ボトムス/HOPE(ホープ)、その他スタイリスト私物
さんとき・そうま 2005年、東京都生まれ。5歳から芸能活動をスタート。映画『ゆずの葉ゆれて』(16年)で俳優デビュー。『君たちはどう生きるか』(23年)では主人公・眞人の声を担当し注目を集めた。近年の主な出演映画に、『あのコはだぁれ?』(24年)、主演を務めた『蔵のある街』(25年)など。
INTRODUCTION
『か「」く「」し「」ご「」と「』(25年)で高く評価された中川駿監督が、母親の看病経験を重ねたオリジナル企画(同名ノベライズを刊行。小社刊)として半自伝的映画を生み出した。母・美咲と2人で暮らす高校3年生の藤村佑を演じるのは、『君たちはどう生きるか』(23年)で主役声優を務め、ドラマでも話題作に出演している山時聡真。日に日に身体の自由がきかなくなる難病を患いながら、何よりも我が子を思いやる母親を熱演した菅野美穂とのダブル主演で等身大の主人公を体現した。
STORY
小学生の頃からバスケットボール一筋だった佑(山時聡真)。シングルマザーの母・美咲(菅野美穂)が難病を患ったことで、佑は高校 2 年のときにバスケを辞め、美咲の世話を優先せざるを得なくなる。高校 3 年生になって自分の夢や希望はすべて諦めかけていたある日、担任から自己推薦での受験を勧められる。しかし、日に日に身体の自由を失っていく美咲の姿を見ると、上京したい気持ちを打ち明けられずにいた。そんな佑を前に、我が子の明るい未来を願う美咲は「お母さん、大丈夫だから」と優しく声をかけるが──。
STAFF & CAST
監督・脚本:中川駿/出演:山時聡真、菅野美穂、西野七瀬、南琴奈、田中偉登/2026年/日本/116分/配給:クロックワークス/©2026映画『90メートル』製作委員会


