染谷将太、唐田えりか、西村まさ彦
——上映の盛り上がりを俳優さんにも体験してもらいたかったですね。ベルリンへの参加について、俳優さんからお言葉はありましたか。
岩崎 オーナー役の西村(まさ彦)さんは、撮り終わった後に「絶対(映画祭など)なんか入ると思うから。やばいから」と、信じてくれていました。大御所ですが、インディペンデント映画を応援する方で心強かったです。染谷(将太)さんは先月(1月)の試写で完成品を見て、「絶対、爆笑の渦だと思うよ」って言ってくれて。今回、染谷さんは調整を試みてくださったのですが、ギリギリでこられなかったんです。急だったのでしょうがない! 唐田(えりか)さんは脚本を読んで「出たい」って言ってくれて、すごい嬉しかったです。気さくな等身大な方で、ベルリン入りを喜んでくれました。
——3人の俳優としての魅力を一言。
岩崎 主人公の堺は喋らないので難しいですよね。一応内面の変化はあるので、微細なところを表情だけでやらなきゃいけない。表情が雄弁かつ全体的にアンニュイで精気のなさが出せるのは、染谷将太しかいないだろうと。小河はこの映画の精神的な主人公。正義感があってラディカルだが、思い込みが激しいところも。その微妙でキャラクターとして好きになりきれない感じを、唐田さんがうまく演じてくれました。唐田さんは『極悪女王』(2024年)を経てから佇まいやお芝居に自信や強さを感じて。だから小河は思ってたより強いキャラクターになって面白かったですね。西村さんはシンプルに僕の父に顔が似てるんです。サイコホラーの『黒い家』(1999年)の西村さんのお芝居が大好きでした。今回は無機質な感じがよくてぴったりでした。お願いできて最高です。
——女性キャラクターにも公平に辛辣で、容赦しないのも良かったです。今、ジェンダーの扱いに気を遣い過ぎるあまり、不自然な演出や設定が多い気もするので。
岩崎 もちろんそこに対しての意識はスタッフとしっかり話しました。女性だからという理由で恣意的に救われるべきだとは思わない一方で、現実社会において女性たちが構造的に不利益を受けているのも事実です。その上で、今回は「女性だから」というわけではなく、世の中に存在するひとりの人としてどう振る舞うか、どう巻き込まれていくかをフラットに描くことにこだわりました。

