YouTubeチャンネル登録者数75万を誇る『ゆっくり不動産』は、日本中に眠る個性的な物件を紹介し続けている。今回、ゆっくり不動産に「団地」にまつわる驚きの物件を語ってもらった。その内容は、団地に対する固定概念を根底から揺さぶるものだった。

「今現存しているのは国内で5棟ほど」戦後復興期の超希少団地

 まずゆっくり不動産が訪れたのは、1949年竣工の旧魚の町団地。全国に約1700戸建てられた「48型」と呼ばれる標準設計の団地で、現在まで残っているのはわずか5棟だという。築77年という年月を感じさせない保存状態の良さも印象的だが、ゆっくり不動産が特に注目したのはその設計思想だ。

今現存しているのは国内で5棟ほど  (YouTubeチャンネル『ゆっくり不動産』より)

「廊下を極力作らず生活に必要な場所へすぐ行ける構成になっています。収納を増やしたり、配膳窓を設けたりと、今当たり前になっている間取りの考え方がこの頃から形になってきたと言われています」

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 現在は「魚ん町+(うおんまちプラス)」としてリノベーションされ、シェアキッチンや民泊としても活用されている。

 次に訪れたのは福岡のレトロ団地だ。物件資料に記されたコンセプトは「無いも有るもその人次第な最高の無空間」。玄関を開けると床が貼られておらず、ゆっくり不動産は「まるで工事中かのような空間で、一瞬、部屋を間違えたかと思いました」と振り返る。

 シューズボックスもなく、土間の範囲すら住む人が決める仕様だ。「完成形を良しとするのではなく、あえて余白を残しているのがこの物件らしさ」とゆっくり不動産は語り、自分なりの正解を考えることが好きな人に刺さる物件だと評した。

 そして東京・足立区で見つけた築57年の団地は、対照的に「令和の進化形」とも呼べる姿を見せた。団地には珍しい後付けのエレベーター、シェア菜園、バーベキュースペース、シェア倉庫。それだけでも驚きだが、最大の目玉はプロの大工が常駐しているという「シェア工房」だ。

「プロの大工さんに団地の一室に住んでいただき、月に1回、DIYの相談会を開いているそうなんです。工具も一通り揃っているので、自分で作業場所や道具を用意する必要がありません」

 前の入居者がDIYした状態のまま見せてもらった部屋では、玄関の壁が紫、キッチンの壁がピンクや茶色に塗装され、筋トレ用のインクラインベンチまで自作されていたという。

 戦後復興期の知恵が詰まった最古級の団地から、住民が自由に空間をつくり上げる令和の団地まで——。ゆっくり不動産が歩いた「団地の世界」は、想像をはるかに超えた奥行きを持っていた。

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