『コズミック・ガール 宙わたる教室』伊与原 新(文藝春秋)

 伊与原さん! 駆け寄ってハグしたい! ハグして肩組みたい! よくぞまた会わせてくれました。

 今回の科学部も最高でした。さらにエモいらしいと噂されていたのは偽りではありませんでした。今度はロケット! 勢いのある「コズミック・ガール」が周りを巻きこんでまさかの発射までたどり着くなんて。

 何かに夢中になる姿に、どうしてこんなに心が動かされるのか、それを見ているだけで、どうしてこんなに心が躍るのか。またもや科学部に心奪われました。

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 事情なんて人それぞれ、環境も人それぞれ。だけどロケットを作っている時はみんな同じ場所に立っている。ひとりでは成し遂げられないから、いろんな人と手を繋いで繋げて作り上げる。そして世界が動く。夢中になるって才能かもしれません。

 居場所がなければ作ればいい。自分のいるところが自分の居場所。だけどひとりで頑張る必要もない、誰かを助けて誰かに助けてもらって、そうして生きていくのだということを、今回もまた教えてもらいました。夢も何も自分になくても、それでもとりあえず生きてれば何か起こるかもしれないから、とりあえず生きてみようと。そういう“かもしれない”を信じてみたくなるんじゃないでしょうか。家庭科部の白川さんと同じように、彼らがまぶしく感じられました。

 以前の仲間たちのその後も知ることができたし、みんなの数年先の未来を想像する楽しみもあって、物語の世界がどんどん広がって、伊与原さん! 最高です! と夜中にひとり泣きながら拳を突き上げました。

『宙わたる教室』で彼らが踏み出した一歩が、巡り巡って彼女たちに引き継がれ、そしてきっとまた未来の誰かへと繋がってゆく。そんな願いのような希望のような物語に出会えてとても幸せでした。

いよはらしん/1972年、大阪府生まれ。神戸大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻。博士課程修了後、大学勤務を経て2010年、『お台場アイランドベイビー』で横溝正史ミステリ大賞を受賞し、デビュー。19年『月まで三キロ』で新田次郎文学賞、静岡書店大賞、未来屋小説大賞を受賞。23年刊行の『宙わたる教室』は第70回「青少年読書感想文全国コンクール」の課題図書(高等学校の部)に。また24年10月よりNHKにてドラマ化され好評を博した。25年『藍を継ぐ海』で直木賞を受賞。近著に『翠雨の人』『コズミック・ガール 宙わたる教室』。

永嶋裕子/さすらいの元書店員。好きな言葉は“なんとかなるさ”。

伊与原新さん

コズミック・ガール 宙わたる教室

伊与原 新

文藝春秋

2026年4月22日 発売

宙わたる教室 (文春文庫 い 106-3)

伊与原 新

文藝春秋

2026年3月4日 発売

最初から記事を読む これ以上に心が震える高校科学小説はないと思っていた――最高を更新する続編!