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2018/08/31

なぜ「正直で公正」が「個人攻撃」なのか?

 さらに最近の新聞を読んでいるとある論点に気づく。総裁選に出馬表明した石破氏に対して「批判」があるという報道だ。

 たとえば8月24日の毎日新聞。「石破氏 参院竹下派と連携腐心」とあるが、その理由は石破氏が安倍首相を批判したことへの懸念が強いからだという。

 石破氏が「正直で公正、謙虚で丁寧な政治をつくる」と主張したことに対して、参院竹下派を仕切る吉田博美氏(参院幹事長)は「個人的なことで攻撃することには非常に嫌悪感を感じている」と「苦言を呈した」というのだ。

吉田博美参院幹事長 ©AFLO

 吉田氏に関しては産経新聞にこんな記事もあった。

「首相『石破封じ』牽制球次々。 9条を争点化、別荘にポスト安倍ずらり 参院・吉田氏『反安倍なら支持せず』」(8月20日)

 参院幹事長として数々の国会を乗り切ってきた吉田氏と首相の絆は深い(らしい)。しかし吉田氏が板挟みになっているのは「師匠である元参院議員会長、青木幹雄の意向をくみ、党総裁選で参院竹下派が元幹事長の石破茂を支持する方針を打ち出した」からだ。

 そんななか安倍首相から電話があった吉田氏はこう答えたという。

「私は石破氏の記者会見に頭に来ているんです。あれじゃ、首相に対する個人攻撃じゃないか。石破氏には『反安倍を掲げて総裁選をやるなら支持できない』と言ってやるつもりです」(同上)

 吉田氏の首相に対するヨイショ、いや、思いが伝わってくる。

「吉田の胸に忸怩たる思いがこみ上げてきた」

 この記事の読みどころは、「安倍からの電話を受け、吉田の胸に忸怩たる思いがこみ上げてきた。」という一文だろう。

 吉田氏だけでなく産経の「石破、コノヤロー」感が伝わってくるのが素晴らしい。産経師匠、石破茂に忸怩たる思い。

©文藝春秋

 それにしても疑問なのは、安倍首相の政治姿勢を批判することは「個人攻撃」なのか? という点だ。

 先ほどの毎日新聞を読んでみると「石破氏が森友・加計問題を念頭に安倍晋三首相を批判したことへの懸念が強い」と書いてある。

 モリカケ問題は首相の「個人」(プライベート)の人間関係からの疑惑や問題だった。そういう意味では「個人攻撃はするな」は「モリカケ問題はツッコむな」とも聞こえる。なるほど正直で公正な自民党内の反応である。