2026年度予算が4月7日、参院で可決、成立した。高市早苗首相の判断による衆院解散・総選挙によって審議が遅れる一方、首相官邸は総選挙の圧勝の勢いのまま年度内成立を求め、早期成立に慎重な自民党側に圧力をかけ続けた。しかし、依然として与党が過半数に届かない参院では自民が野党に譲り、成立は年度明けにずれ込んだ。

予算は成立したが ©時事通信社

 予算成立は、高市政権の権力構造を検証するには格好のタイミングである。新聞各社はどう報じたのか。

 まずは朝日新聞である。かねて高市政権の強硬姿勢に懸念を示しており、権力監視というジャーナリスティックな批判的姿勢は意気やよしだ。この局面では、その姿勢を裏付ける分析力が問われるが、これがあまりの内容で驚いた。

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 三面の記事は様々な関係者のオフレコ発言を紡ぐ形で続く。例えば、高市氏の気持ちを代弁する政権幹部は「参院はどこを向いて仕事をしているんだと首相は思っているのでは。野党に譲ることでなんとか交渉を進めるという国対政治を変えたいのだろう」と語る、と紹介する。そのうえで、国会対策の経験が長い自民幹部の戸惑いを記す。「こんなやり方でいいんだろうかとも思うが、いまの世の中ではスピーディーに物事が決まる方が評価されるのかもしれない」。その後も国対幹部の発言が続く。

朝日新聞の社屋 ©時事通信社

 永田町の当事者の言葉を重ねることはオーソドックスな手法だ。しかし、首相官邸と党、衆院と参院、さらには国会改革を志向する首相と、議会制民主主義の慣行を重んじるベテラン議員――といった対立の断片は見えるものの、全体の力学、すなわち権力構造が浮かび上がってこない。

 朝日の角田克社長は日本経済新聞のインタビューで「一つの専門分野に3人程度のスーパージャーナリストが朝日新聞の力の核心になる」との構想を語ったが、この分析力では、少なくとも政治分野ではそうした構想の片鱗は見当たらない。

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 この続きでは、毎日、読売、産経、日経を読み比べて「首相への寄り添い」「政治部記者と権力内部の距離」など、問題点について考える。記事は「週刊文春 電子版」で配信している。

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