「8時間で暗号解読」の衝撃

 量子コンピュータの応用で注目されるのが暗号解読だ。藤井氏によれば、「フルスケールの大規模な量子コンピューターができれば、8時間ほどで暗号解読ができてしまう」。2019年のGoogle「量子超越」発表時にはビットコインが暴落する騒動もあった。当時は過剰反応とみなされたが、藤井氏は「今はもう現実的なリスクとして捉えられていて、すでに対策が講じられている段階」だと語る。米国を中心にLWEと呼ばれる耐量子暗号の標準化が進んでおり、量子コンピュータでも攻略できていない問題を暗号に利用する仕組みだ。

「2040年に14兆円市場」は本当か?

 成長戦略会議の「2040年に14兆円市場」という見通しについて、藤井氏は「14年前の2012年には、この業界はほとんど存在しませんでした。そこから劇的な進化を遂げたことを考えると、次の12年で何が起こるかは全く予測できない」とした上で、量子コンピュータに加え、センシングや量子通信まで含めた広いポートフォリオで見れば「(14兆円という数字に)違和感を感じない」と述べた。

 

 ただし課題は明確だ。現在の量子コンピュータは最高レベルでも100~1000量子ビット。暗号解読や分子シミュレーションに必要とされる100万量子ビットには3~4桁足りない。ハードウェアの大規模化とソフトウェア・アルゴリズムの効率化という「両面からイノベーションを起こしていく必要がある」と藤井氏は強調する。実用化の時期については「早くても2030年、おそらく2035年頃には実現できるのではないか」との見通しを示し、「2040年までに実現していなければ、何らかの大きな問題に直面したということだろう」と語った。

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