警察は現場の状況から犯人がまず八畳間で仁左衛門親子3人を殺した後、逃げ回る岸本さん、榊田さんを別室四畳間で殺害したうえ、2人の死体を八畳間に運んだものと推定。

 家の庭先に血まみれの薪まき割り用の斧が放置されていたことから、これが犯行に使われた凶器と断定する。

写真はイメージ ©getty

 また、前々日に払い出した郵便貯金600円(現在の貨幣価値で約2万4千円)が失くなっていることも判明。

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犯人の正体は⋯

 捜査当局は2歳の幼児まで容赦なく殺害している残忍さから怨恨が動機と睨むとともに、前日まで仁左衛門家に同居していた、岸本まき子さんの実兄・飯田利明(同22歳)の姿がないことから、飯田を重要容疑者として、その日のうちに全国に指名手配する。

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 事件から数年後、被害者家族のもとに獄中の飯田から詫び状が届き、そこには「弁護人から犯行動機を食べ物の恨みと言えば減刑されると聞いて嘘の供述をした。申し訳なかった」と書かれていた。彼の真の動機は何だったのか――

次の記事に続く 「食べ物の恨みは嘘だった」有名歌舞伎俳優一家5人を殺害⋯22歳・作家見習いの男の『真の殺害動機』(昭和21年の事件)