毎日ホントに暑い暑いと思っていたけどもう9月。プロ野球のシーズンもあと少しとなりました。あっという間のようだけど、長いシーズンです。選手たちには天国もあれば、地獄もあります。
二保旭投手は今シーズン、3年ぶりに1軍のマウンドに帰ってきました。2015年には自己最多となる44試合に登板し、プロ初勝利含む6勝の活躍を魅せました。しかし翌年に酷使した右肘に痛みを訴え、トミージョン手術を受けました。そして、復帰までの長いリハビリの道のりを歩んできたのです。
「オレ、今、珍しく弱気になってる」
4月10日の日本ハム戦で復帰登板。その時は1アウトしか取れず、2安打1失点と結果は残せませんでしたが、切れ長の目をもっと細めて、帰ってこられたことに少しホッとしたような表情を浮かべていました。
4月下旬からは7試合連続無失点などアピールしたことで、少しずついい場面で起用されることも増えていきました。6月24日のオリックス戦では10年目にしてプロ初セーブもマークしたのです。しかし、夏場になるとその勢いがやや影を潜めてきました。そして、8月1日の西武戦。14対2で迎えた9回にデビュー戦の大竹耕太郎投手からのバトンでマウンドに上がったのですが、まさかの3連続フォアボールで無死満塁とすると森友哉選手にグランドスラムを浴びて降板となりました。翌日2軍に降格。1軍での居場所をつかみかけていただけにショッキングな結果となってしまいました。
「オレ、今、珍しく弱気になってる。こんなこと絶対に言葉に出しちゃいけないんだろうけど、野球辞めたいとも思ってしまったよ……」
8月のある日、タマスタ筑後へ取材に行った時のこと。マウンドで“魅せる”投げっぷりの良さからは想像のつかない弱音を吐いたのです。持ち味である強気なハートも打ち砕かれてしまっていました。
28歳 とにかく必死な年齢
二保投手と私は同じく1990年生まれの今年28歳になる世代です。一般社会ではまだまだ「半人前」なんて言われますが、プロ野球選手の場合は若手ともベテランとも言えないけど、1軍にいないと不安になる世代……。タレントの場合も若手でもベテランでもないし、微妙な年齢で……とにかく必死なんです!
同い年ということもあり、取材等で球場に行くとよく声を掛けてくれます。リハビリ中にも、いろんな話を聞かせてくれました。
昨オフには「俺も(クビを)切られる可能性充分あるから」と覚悟を打ち明けてくれたこともありました。結局、仲の良かった大隣憲司投手(現・千葉ロッテ)や坂田将人投手(現・BC栃木)が戦力外通告を受ける結果に。複雑な心中は察するに余りありましたが、自分は残してもらった以上やってやるという気持ちで再び前を向いていました。
時々不安は抱いても、基本的には二保投手は強気な男です。そして仲間想いで、曲がったことが大嫌い。後輩の悩み相談を受けたり、はけ口になることもしばしば。とても頼りになる人なんです。
そんな二保投手だからこそ、あの弱音は意外でした。2軍降格後はしばらく安定感を欠いていましたし、気持ち的にも落ちていたのでしょう。こちらも声を掛けるのをためらいました。