全力で競技に取り組むアスリートを、こちらも全力で応援するに決まっている
コンプライアンス、そしてガバナンスにすこぶる敏感な昨今。世間の声、そしてファンの声に企業は過敏に反応する。連日連夜吊し上げられている組織の姿を目の当たりにすれば、それは仕方のない事だろう。しかし、行きすぎたコンプライアンス、そしてガバナンスを意識するようになると、もはや自主規制で雁字搦めの組織運営になってしまうのではないか。「やめとこう精神」なのか「冒険しない道順」なのか。言わば声のない声に導かれ、面白みのない方向へ方向へと舵を切ってしまうだろう。しかし、プロスポーツの在り方がそれで良いはずがない。そもそもがエンターテイメント事業であるプロスポーツなのだ。ファンの心が躍動し、一つ一つの細かなプレーが琴線に触れる。我々ファンはそれを求めているはずなのだから。
冒頭の三屋裕子会長の謝罪会見。ネットニュース等を見ていると心ないコメントも多く存在した。まるで、当該選手達が2度とコートに立てなくなるような結末を望んでいるかのようだ。そんな事は百も承知で選手達と会見に及んだ三屋会長は、何よりバスケットボールの未来を、そして当該選手達の未来を深く考えた勇気のある行動だったのではないだろうか。それが「印象的だった」と書いた理由である。
何事も、起こってしまった事は仕方がない。それよりも、言ってしまえば「些細」な事で舞洲プロジェクトが、そして大阪のスポーツ振興が暗礁に乗り上げてしまう事の方が、我々スポーツファンにとっては「大きな」問題だと思う。ここはどうか金子投手。舞洲プロジェクトを代表して金子投手。「行きすぎたガバナンス」という化け物の胸元いっぽいに、そのキレのあるストレートを投じてくれまいか。我々スポーツファンはガバナンスがどうであれ、世論がどうであれ、全力で競技に取り組むアスリートを、こちらも全力で応援するに決まっているのだから。
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