累計発行部数1億部を超え、単行本は145巻まで刊行されている国民的ボクシングマンガ『はじめの一歩』。1989年の連載開始から35年以上にわたり、ファンを熱狂させ続けている。

 多くの読者にとって気になるのが、この長大な物語は果たしてどのような結末を迎えるのかということ。作者である森川ジョージさん(60)によると、既に構想はあり「試合結果もだいたい決まっている」という。

©石川啓次/文藝春秋

ボクシングマンガだけは描きたくなかった

 高校在学中にマンガ家としてデビューした森川さん。しかし、『はじめの一歩』以前はデビューから3作連続で打ち切りにあうなど苦汁をなめてきた。

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 それまでサッカーやF1といった競技を題材にしてきた中で、担当編集からボクシングの提案があったことが『はじめの一歩』が生まれたきっかけだ。しかし、森川さんはボクシング好きではありながら「ボクシングだけは本当に描きたくなかった」と振り返る。

 というのも、すでにライバル誌ではボクシングマンガがヒットしており、なおかつ森川さんの主戦場であるマガジンといえば、ちばてつやさんの『あしたのジョー』が掲載されていた雑誌だったからである。

 それでも、親身になってくれた編集部のアイデアを断るわけにもいかず模索を続けた。半年以上も編集者と二人三脚でネームを描き続け、ようやく1989年に『はじめの一歩』の連載が始まった。

気になる最終回の内容は……

 ここまで長く連載を続けてきた中で、現在の目標を問うと森川さんは「一歩の最終回を描くこと」と答えた。その内容については、こう話す。

「試合結果もだいたい決まっているけど、それをひっくり返したことがけっこうあるんですよ。例えば一歩と伊達の試合(日本フェザー級タイトルマッチ)は一歩が勝つ予定でした。その頃、少年漫画の主人公は負けないというのが主流だったのに、一歩を負けにしちゃったんです」

人気1位というスタートを切るも、森川さんは「読者に受けた理由は、ぜんぜんわからないです」と振り返る ©石川啓次/文藝春秋

 当時、「王道」ではない衝撃的な展開にしたことについては「結果を決めて、こうなってくれなきゃ困るっていう書き方すると、極めてつまんないんですよ、マンガって」と話す。だからこそ、最終回も構想こそあれどうなるかは分からない。

 そして、ファンが最も待ち望むカードと言ってもよい、主人公・幕之内一歩と、永遠のライバル・宮田一郎の対戦はどうなるのか。

「僕のなかで、2人は何度も戦っています。一歩の試合を描いている時にシミュレーションすると、一歩が勝ちます。宮田の試合を描いている時にシミュレーションすると宮田が勝ちます。だからまだ今じゃない、均衡した時にやらせたいなと思っていたら、一歩が引退しちゃいましたね(笑)」

「筆が遅い」ファンからの檄に対してどう思っている?

 長期連載では休載も経験しており、続きが気になる熱心なファンからは「筆が遅い」と檄が飛ばされることも。この点について、森川さんはどう思っているのか。森川さんが明かす創作の苦労や『はじめの一歩』が生まれた当時の記憶など、インタビュー全文は下記からお読みいただけます。

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