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ゴールデングラブ賞を4度受賞している今江は?

一番好きな鍋はキムチ鍋だけど最近は湯豆腐が好きな今江選手 ©河内一朗

 ゴールデングラブ賞を4度受賞しているプロ17年目の今江年晶選手。グラブのこだわりについて聞くと、「普段はメーカーさんが『型付け』というのをしてくれるんですよ。湯もみとかして柔らかくしてくれます。でも、僕は出来上がりのカッチカチのままがいいので、それにしてもらって、そこから自分で叩いたりして芯がなくならないようにパリッとさせて『型付け』をしていきます」とグラブへの熱を話してくれた。

 試合で使用するまでに、自分の手をしっかりと加えて、納得のいくグラブを作っていくのだ。その結果、今シーズンも今江選手はサードとファーストの守備で球際の強さが光っている。

 バットについて聞くと、「これはある意味こだわりかもしれないですけど、使うバットの形をその時の身体の調子に合わせて変えるのでSSKのバットのグリップのところにA~Zのアルファベットが書かれているんですね。それが既にもう何周かしてます。という事は、大体100種類ぐらいのバットを作ってもらっているという事ですね。色々変えながらやっています」と丁寧に教えてくれた。

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 どんなボールでも必死に食らいつく今江選手のSSKのバット。残りシーズンも1本ずつヒットを打ってランナーを還してくれるに違いない。そして楽天イーグルスで2000安打を達成してくれると強く信じている。

名手・藤田一也のグラブの育て方

好きな「秋の味覚」は秋刀魚にかける徳島県産の「すだち」の藤田選手 ©河内一朗

「藤田プロ」とファンからも称される名手・藤田一也選手にグラブへのこだわりを聞くと、「1年でも長く使えるように硬い革のミズノのグラブを発注します。そして自主トレから次の年の練習用として使って1年後、2年後のゲーム用になるように大事に育てます」と答えてくれた。

河内「グラブの手入れはどうされていますか?」

藤田選手「ボールも革なので革と革の間にオイルがあると引っ付きやすくなるので、僕は基本、(グラブを馴染ませる)グローブオイルは殆ど使わず、汚れを落とす程度ですね。その引っ付く感覚が個人的にあんまり好きではないので」

河内「試合中に素晴らしいグラブ捌きを見ると、グラブがボールを寄せ付けているようにも見えるのですが?」

藤田選手「本当に信頼・信用しているグラブでないとゲームでは使わないようにしていますね。これだったら大丈夫と思って初めてゲームで使います」

河内「マイグラブに言葉を贈るなら?」

藤田選手「それはもう、いつもありがとうしかないですね!助けられているので(笑)」

 ヒット性の当たりを阻止する守備範囲、相手バッターの特徴やボールカウントを考えながら守るポジショニング、当たり前の様に難なくアウトにする軽快なグラブ捌きは誰が見ても球界トップクラスだ。その理由の1つは、グラブを信用し、リスペクトし、グラブを「育てる」というぐらい心の底から大切に思っているからなのかもしれない。

 プロ野球は人のココロを動かす「最強のエンターテインメント」だと思っている。ファンへの感謝を忘れない楽天イーグルスの選手たちが、商売道具である野球用品へのこだわりがあるからこそ、我々ファンは戦う選手たちに魅了されるに違いない。

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