偏差値30台から東京学芸大学を専攻首席で卒業し、東大大学院で日本画を研究した経歴を持つ由女さん(26)。誰もが知る大企業にデザイナーとして就職したものの、社会人1年目で大きな壁にぶつかったことをきっかけにギャルへと転身した。会社からは「熱烈な歓迎」を受けた一方で、思わぬ波紋も起きていたという。

由女さん ©志水隆/文藝春秋

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「納得できる人生なのか」社会人1年目の苦悩

 由女さんが入社したのは、誰もが知る一流企業。インターン時代に惹かれたアプリデザインの部署への配属を希望していたが、入社時にはその部署自体がなくなっていた。代わりに任されたのは、法人向けアプリの開発から進行までを一人で担うプロジェクトだった。

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「初のプロジェクトで法人相手の責任を全部背負うのは心労が大きかったし、自分がやりたいことなのかもわからなくなっちゃって。この会社にい続けて自分が納得できる人生を歩めるのかと本当に悩んでいた」と、当時を振り返る。

東京大学の大学院を卒業した当時の由女さん

「何で私はこれになれなかったんだろう」ギャル化した経緯

 そんな悩みを抱えていた時、TikTokでギャル雑誌『nuts』のモデル・まぁみちゃんに出会う。「何で私はこれになれなかったんだろう」と衝撃を受け、幼い頃から抱いていた不良やギャルの世界観への憧れが再燃。

 25歳という年齢制限があった『nuts』のモデルオーディションに挑戦するため、「1年間だけ頑張ってみよう」と金髪にブリーチし、本格的にギャルへと舵を切った。

 職場での反応は、意外にも好意的なものだった。由女さんによれば、「上司が偉い人たちに、『うちの部下のギャルがプロダクトのデザインしてくれたんです』って、話してくれてます」という状況で、別部署が担当する企業パーティに「謎に呼ばれ」ることまであったという。

ギャル化する前の由女さん。ここから徐々にギャルになっていく(由女さんのInstagramより)

「こんなヤツが社員でいていいはずがない」と言われたことも…

「会社の皆が熱烈に受け入れてくれたことで、もうちょっとこの会社で頑張ってみようと思いましたね」と由女さんは振り返る。

 しかし、全員が好意的だったわけではない。「サマーインターンに来た学生に通報されたことはありますね。こんなヤツが社員でいていいはずがない、みたいな(笑)」と由女さんは笑い飛ばすが、なかなかのインパクトのあるエピソードだ。

 ギャル化によって変わったのは職場の空気だけではない。街中でのナンパが減った。「『このぐらいだったらイケるわ』ってなめられてたんじゃないですかね(笑)。ナンパの本質はたぶんそこだと思うんで」と鋭く分析。ギャル化した知人は痴漢被害もなくなったという。

 

かつては美術教師志望も、教育現場の現実にバーンアウト

 もともと由女さんは、美術教師を目指して東京学芸大学に進学。「人にものを教える立場になるなら、一番きれいにデッサンができる日本画が最適だ」という強い信念を持っていた。

 しかし、大学で教育現場の過酷な現実を知る。「やる気を出すほど待遇が悪くなる」という仕組みに、理想に燃えていた由女さんは大学2年生で早くもバーンアウトしてしまったという。

 東大院卒、元・美術教師志望、そしてギャル。多くの顔を持つ由女さん。サマーインターン生に通報された一件を含む彼女の詳細なエピソードは、インタビュー本編で語られている。

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