文字通り、神をも恐れぬ男が捕まった。大野勝彦被告(当時65)は「動波神術」を操る「神生一人先生」と名乗り、芸能関係者の女性に性的行為を繰り返したとして逮捕された。被害者のA子さん(当時28)はいかにして罪深き「修行」へと引き込まれていったのか。
「飛躍したければ、子宮のエネルギーを浄化しなければならない」
コロナ禍で仕事が減り、将来への不安を抱えていたA子さんが大野被告と出会ったのは、仮想通貨の勉強会がきっかけだった。知人の夫から「神事をしているすごい先生がいる。先生の力で人生が好転した」と紹介を受け、2022年11月27日、東京都千代田区の高級ホテルのレストランで初めて対面した。
初対面から大野被告はA子さんに対し、こう告げた。
「運に強い影響を与えるのは子宮にたまるエネルギーなんだ。あなたの子宮のオーラは黒く見える。悪い男のエネルギーを受けている。これを取り除いて、良いエネルギーを入れなければならない。悪いエネルギーを取り除くだけなら普通の霊能者でもできるが、良いエネルギーを入れることができるのは私だけだ」
著名なバイオリニストやロックグループのメンバーが大野被告の指導で飛躍したという話を聞かされ、A子さんは信頼を深めていった。
その後、ホテルの客室に呼び出されたA子さんは、大野被告からこう宣告される。
「神とつながっている私しかできない。ここで苦行を味わっておけば、外では幸せしかないだろう」
こうして始まった「修行」は凄惨なものだった。尿を飲まされ、全身を舐めることを命じられ、最終的には性行為に及んだ。大野被告は終始無表情だったという。それがかえってA子さんに「これは本当に修行なのだ」という錯覚を抱かせた。
「これで修行は1セット終わりだ。このセットを1年間で1000回こなしなさい。その頃には別の世界が広がっているだろう」
終わったのは午前1時過ぎ。それでもA子さんは「苦行をやり遂げた」という達成感に包まれていたと証言する。巧みな言葉と周囲からの信頼という二重の罠が、被害者の判断力を完全に奪っていた。
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