是枝裕和監督の新作がSFらしいと知った時は意外に感じたが、考えてみれば『ワンダフルライフ』(99年)、『空気人形』(09年)はドキュメンタリーと幻想が融合した独特な味わいのファンタジーだった。『箱の中の羊』はその系譜に連なる〈是枝ファンタジー〉の最新作となった。

©2026フジテレビジョン・ギャガ・東宝・AOI Pro.

 子供を亡くした夫婦が喪失感を埋めるために、その子そっくりのヒューマノイドを家庭に迎え入れる。妻は前のめりに子供を愛すが、夫は父親として接することに抵抗を感じる。同じ姿でも息子ではないと一線を引こうとする夫を演じる大悟は自然体で芝居臭さがなく、妻役の綾瀬はるかと堂々と渡り合う。二人は息子の死に罪の意識を持っている。抑えていた感情がぶつかり合う場面では、二人の演技が火花を散らせて胸を揺さぶられた。

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 どこかが欠落した家族が心を開いて本当のひとつの家族になろうとする物語を、これまで是枝監督は繰り返し描いてきた。しかし今回の子供は、心を持つとはいえ人間ではない。子供を受け入れることが本当に幸せなのか、夫婦は悩み、観ているこちらも心配しながら見守ることになる。

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心を持った機械は人間なのか、やはり機械なのか?

 夫婦と一緒に暮らすうちにヒューマノイドの言動は亡くなった子供に近づき、いつしか夫もその子を息子として接し始める。けれど観客には子供に感情移入させ過ぎないような作りになっているのが、これまでの是枝作品との違いだ。夫婦の元にいるヒューマノイドの子供は親たちが知らないところで他のヒューマノイドの子供たちのグループと繋がり、何かを計画し始め、不穏なムードが漂う。

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 心を持った機械は人間と同じなのか、やはり機械なのか? SFが繰り返し描いてきたテーマで、僕もテレビアニメ『ASTRO BOY 鉄腕アトム』で描いたことがあり、大好物だ。『箱の中の羊』は現実に近い世界観で繊細に登場人物たちの心情を追いかけながらそのテーマを展開していくので、リアルなSFとして引き込まれる。