声を上げながら卓球を…

 準決勝を翌日に控えた夜。彼らは声を上げながら卓球に興じていた。食事中だったほかの選手たちの間に「準決勝の前夜に騒ぎすぎる」「集中力が乱される」と不満が広がった。複数の韓国メディアが伝えている、食堂内でそういった声があがっていたと。

 主将ソン・フンミンが席を立った。卓球をしていた若手たちのところへ行き諭した。「準決勝を前にして自重しろ」。チームの雰囲気と集中力を保つべきとの思いから出た言葉だった。それにイ・ガンインが激しく言い返した。

 クリンスマンは後日、ドイツのテレビ番組でこの夜についてこう語っている。

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「パリでプレーしている若い選手(イ・ガンイン)が、トッテナムの主将である年上の選手(ソン・フンミン)に無礼な言葉を使った。それが原因で2人の間にケンカが起きた」。

イ・ガンイン(2021年日韓親善試合で) ©JMPA

 言葉の応酬はやがて物理的な衝突に発展した。イ・ガンインが拳を振るった、ソン・フンミンの胸ぐらをつかんだ(首元という報道も)。複数の韓国メディアはそう報じた。

ソン・フンミンの指は「コ」の字に曲がった

「顔面に直撃した」と書いた媒体もあれば、「ソン・フンミンは拳をかわして当たらなかった」と伝えた媒体もある。2人を止めに入った選手と警護スタッフが入り乱れ、現場は「修羅場」と表現されるほどの混乱状態になったという。

 この騒動を収める過程でほかの選手の衣服に引っかかり、ソン・フンミンの右手の指は「コ」の字に曲がった。脱臼だった。

 大韓サッカー協会の関係者はのちに「卓球場でトラブルがあったのは事実だが、本格的な殴り合いという水準ではなかった。ソン・フンミンが制止を振りほどく際に指を負傷した」と説明した。殴り合いのイメージを和らげる言い回しだったが、ケガの事実は動かなかった。

 翌日、ソン・フンミンはテーピングを巻いた右手でヨルダン戦のピッチに立った。指の痛みを抱えたまま90分を戦い、チームは敗れた。(#2につづく

次の記事に続く 「年下の選手が年上に歯向かった」ベテラン勢が“メンバーから外せ”と要求した韓国代表の内紛…当事者たちの「意外な本音」

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