「骨転移は痛い」とは聞いていたが……

 9月の時点で、PSA(前立腺がんの腫瘍マーカー)は12.63まで上昇していた(前月は10.49)。そして整形外科で受けた全身MRI検査の結果、がんが全身の骨に多発転移していることも分かった。

 以前から痛みがあった「左肩と上腕部」の痛みも、がんの骨転移による症状であることがはっきりした。

筆者の主治医、小路医師 ©文藝春秋

「骨転移は痛い」とは聞いていたが、なるほど左肩の痛みは中々のものだ。骨折のような鋭い痛みではなく、また五十肩のような瞬発力のある痛みでもない。「骨の奥底から湧き上がる重い痛み」が一日中持続する。しかし、ぜんそく発作のような「他に忙しい事案が発生しているとき」はその痛みはいったん消えてくれるので、僕はぜんそくの対応に集中できる。そして咳が治まって落ち着きを取り戻すと、また左肩の痛みがじわーっとぶり返してくる。うまい具合にできているのだ。

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 いま痛みがあるのは左肩だけだが、すでに胸骨と背骨の腰のあたり、骨盤内の転移巣は「いつ痛みが出ても不思議ではない状態」とのことなので、遅かれ早かれ痛みにのたうち回ることになるのだろう。

 骨転移で恐いのが骨折だ。

「背骨が圧迫骨折すると寝たきりになったり、頸部の骨が折れると窒息することもある」

 と、若い整形外科医に脅された。これを防ぐために腰の骨への負担を減らすコルセットを作ることを勧められた。このコルセット、結構なお値段なのだが、脅されると買わないわけにもいかなくなる。

 その点、小路医師は人格者なので患者を脅すようなことは言わない。どんなに些細なことでも真剣に考え、最善と思われる策を提示してくれる。多発骨転移、特に背骨の転移について、日常生活での注意点を挙げてくれた。その中に「重たいものを持たないように」という項目があるので、最近はお米や水などの重いものはスーパーで買わずに配達してもらうようにしている。

※長田昭二氏の本記事全文(5500字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています。全文では、下記の内容についても触れられています。
・錠剤だけで毎日18錠「朝は薬でお腹がいっぱい」
・金メダリストと同じ薬で「最高の状態に」
・主治医へのある懇願

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