2025年6月、「僕の前立腺がんレポート」を連載中に亡くなった長田昭二さん。今回は、長田さんががん転移の告知を受けた際の心境を明かした第2回から一部を紹介します。

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告知されたとき、人はどんなリアクションを取るか

 2年前の6月24日、僕は前立腺がんが背中の胸椎と肺に転移していることを告知された。翌月に受ける予定の前立腺がん摘出術の術前検査で見つかった転移だ。

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診察中の筆者 ©文藝春秋

 それ以前の組織検査で、がんの悪性度を測る「グリソンスコア」が10点満点中の8点と高く出ていたので、いずれ転移する危険性はあると覚悟はしていた。

 でも、その時点では手術を受ければとりあえずはがんも無くなると考えていたので、告知を受けたときは驚いた。驚きはしたが、悲嘆に暮れることもなかった。

 そもそも、がんの転移を告知されたとき、人はどんなリアクションを取るのだろう。

 昔のドラマならカッと目を見開いて驚き、落胆ののちによよと泣き崩れ、医師が差し出すティッシュペーパーの箱からティッシュを2~3枚引き抜き、涙を拭いて鼻をかむ……という流れが一般的だった。

 しかし、これはちょっと芝居臭い(芝居なのだが)。

 とはいえ、何事もなかったように、

「そりゃ残念ですね。アハハ」

 と明るく答えたりすると人間性を疑われる。

採血を受ける ©文藝春秋

 がん患者にも、「その場に合った対応」が求められるのだ。

 僕の場合は、極力表情を変えずに、医師と二、三の必要な会話を交わした。

 その中で、次の会話はよく覚えている。

「転移したということは、完治の可能性はなくなったということですね」

「そうですね。もちろん医療は進歩しているので、今後何が起きるかは分かりませんが、基本的には“がんとの共存”を目標にすることになります」

 お互いに遠慮しながら、言葉を選びながらの会話になっているが、早い話が「もう治らない」ということを確認し合っているのだ。

 僕のアタマに最初に浮かんだセリフは、

「こりゃ忙しくなるぞ」

 だった。