「東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法に基づき、コンサルティング料の支払いが“みなし公務員”の立場にあった髙橋氏に対する贈賄に該当するとの嫌疑で東京地検特捜部が捜査を始めました。捜査では、角川氏が代表権を有しない会長職に退いていたものの、経営上の重要事項に強い影響力を保持していたと認定。容疑を一貫して否認した角川氏でしたが、2022年9月に贈賄罪で逮捕され、226日に及ぶ勾留の後に保釈。今年1月22日、懲役2年6カ月執行猶予4年(求刑懲役3年)の有罪判決が言い渡された」(同前)

「一方的に角川氏が刑事責任を負う可能性が高いことを公表」

 この間、KADOKAWA社内で進んでいたのが、危機管理委員会とそれに次ぐガバナンス検証委員会の立ち上げだ。2022年8月に弁護士の國廣氏を委員長とする危機管理委員会が発足。同社の関係者等に対するヒアリング等の調査が実施され、同年10月には同社の内部統制、ガバナンスを含め更なる調査が必要との結論を下し、国廣氏を引き続き委員とするかたちで「一連の贈賄問題に関する事実関係の調査」等を任務とするガバナンス検証委員会の設置が公表された。翌年1月23日には、検証委員会が作成した調査報告書が公表され、2月2日にKADOKAWAの夏野社長同席の下、記者会見が開かれた。

「報告書には、コンサルタント料の支払いについて角川氏らの行為が『贈賄に該当する可能性が高い』旨が明記されていた。また、記者会見の場では、『客観的証拠がある』ことも言及されました」(KADOKAWA関係者)

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KADOKAWAの入居するビル(東京都千代田区) ©時事通信社

 今回、角川氏はKADOKAWA側のこうした動きにより、名誉を毀損され、被告人の防御権を侵害されたとして民事提訴することを決めたという。角川氏の控訴審弁護人で原告代理人の郷原信郎弁護士は次のように話す。

「今回の提訴では、角川氏の名誉を毀損しただけではなく、被告人の防御権を侵害したことも請求の根拠としています。ガバナンス検証委員会は、贈賄を全面的に争い無実を訴えている原告に弁解の機会を一切与えることなく、信用性の担保されない会社関係者らから一方的に聴取する調査が行われました。存在しない『専務会での会長・社長への報告』など誤った事実を認定し、『贈賄に該当する可能性が高い』などと述べた調査報告書を作成・公表し、KADOKAWA役職員にも世の中にも誤った認識を与えたことで、実質的に刑事被告人としての防御権を侵害したものです」

 東証プライム市場に上場する会社のトップが、元会長から提訴されるという異例の事態に、司法の場で夏野社長側がどのような反論を展開するのか、注目される。

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