3歳のひとり息子と夫と暮らす、専業主婦の青山むつみ。電機メーカーに勤める夫は、はたから見たら真面目で物静かな人。だけど家の中では、四六時中スマホを手に、妻である自分を「圏外扱い」し続けているのだ――。
「同じ場所に暮らしているのに夫と目線が合わない」
切実な夫婦のディスコミュニケーションを描いた漫画『夫に圏外扱いされてます』が、多くの読者の共感を呼んでいる。
「かつて、『同じ場所にいるのに夫と目線が合わない』という状況に苦しんでいた時期があって。『圏外扱い』というのはタイトルを考えていたときに思いついた言葉なのですが、その状況を表すのにぴったりだと思いました」(作者のいぬゐのこさん)
妻の「やめてほしい」よりも、SNSでの賞賛が欲しかった夫
作中では、子供と妻をないがしろにする夫がリアルに描かれている。家族で出かけた先で、写真を撮ってはSNSに投稿する夫に「やめてほしい」と頼んでも聞き入れず、投稿を介して知り合ったインフルエンサーのちえりにのめり込んでいく。
「“ちえり”の存在はフィクションですが、青山家で起きたことは、ほぼ自分で経験したことを基に描いています。当時を思い出して涙をこらえながら描いたページもあります。夫のスマホを壊したりはしていないのですが(笑)」(同前)
便利家電を頼ってみたり、友人や公的機関に相談したり、夫との話し合いを試みたり、なんとか状況を変えようと葛藤する主人公のむつみ。派手なエピソードではないが、胸に迫る内容ばかりだ。
「夫婦って結婚していても結局他人同士なので、考え方や価値観が合わないのは当たり前だと思うんですが、それを放置すると溝が深まって『お互い圏外』みたいなことになってしまう。溝を埋めようとするなら、その過程で発生しうるであろう時間や手間を惜しまないこと、ケンカ上等で向き合っていく覚悟が必要なんじゃないでしょうか」(同前)


