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日経の1面コラムが「チクリ」とやった

 するとその2日後。総裁選告示の前日(9月6日)に今度は日本経済新聞が書いてきた。

 1面のコラム「春秋」は、

《現状では、安倍陣営の優位は揺るぎそうにない。先日、5派閥合同で選挙対策本部が発足したと報じられた。圧勝ムードの中、政策論争より内向きの忠義立てや猟官が目立ってしまうようではさびしい。》

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 とチクリ。さらに、日経に登場した安倍首相インタビュー(9月4日)を念頭に置いてこんな言葉も。

《「3年で雇用と社会保障の改革を進める」。安倍首相は本紙に述べた。これまで放った矢の行方も見えませぬ、とお友達なら諭してもよさそうだが、党内にものを言えない空気が漂っているのだろうか。》

 日経「春秋」師匠の強烈な嫌味。

西村康稔氏 ©文藝春秋

 これを読むと本当のお友達とは何か? と考えさせられる。あの3人は「首相周辺」だが本当の「お友達」ではないのだろう。いかに首相に気に入られるかという発想だけが源なのだろう。そこを日経は皮肉った。

 そう考えると、最近の私の違和感がひとつ解決される。

 新聞各紙によく出てくる「首相周辺」の言葉の強さへの違和感である。

「首相周辺」が発する言葉が強すぎる

 ちょっと思いつくまま並べてみよう。「朝日」「読売」から拾ってみた。

・「総裁選は党員や党所属議員ら限られた人にしか投票権がない。一般人にも届くような討論会をしても仕方ない」(首相周辺)※ 朝日8月22日

・党内では「石破氏を支持した議員は今後3年間、首相から徹底的に冷遇される」(首相周辺)※読売8月4日

・首相周辺は語る。「総裁3選後のレームダック(死に体)化を防ぐには、相手候補を壊滅させるくらいの圧勝しかない」※読売7月26日

萩生田光一氏 ©文藝春秋

 いかがだろうか。「首相周辺」の強すぎる言葉。行間から伝わってくるのは虎の威を借りる狐の姿である。 

 産経・読売で名前の挙がった3名が、これらのコメントの中にもいるとしよう。

 党内では、え? と思うような強気でいつつ、首相にはご機嫌取りと出世アピール。

 これでは「首相周辺」は力がありそうに見えて、実は党内を呆れさせているだけの光景が目に浮かぶ。

 安倍首相、総裁選に勝ったら次は「周辺」を再考してみてはいかがでしょうか。石破茂を干すよりよっぽど有効かもしれません。