食品添加物の影響もよく話題になります。しかし、現在の科学的知見では、日常的な摂取量の食品添加物ががんの主要な原因とは考えられません。SNSなどで「日本は食品添加物の規制が緩いから、がんが増え続けている」といった主張を見かけることがあります。しかし、日本の食品添加物規制が特に緩いという事実はありません。また、日本でがん患者数が増えている最大の理由は高齢化です。同じ年齢で比較した年齢調整罹患率や年齢調整死亡率を見ると、多くのがんは減少あるいは横ばいです。
※3 Stress and Cancer - NCI
コレステロール値に関する間違い
そのほか、「コレステロール値が低いと、がんになりやすくなる」という説が一部医師によってまことしやかに広まっていますが、これは大間違いです。
確かに「コレステロール値が低いほど、がんが多い」という観察結果はよく知られています(※4)。でも、これは必ずしも「コレステロールが低いから、がんになる」とは言えません。反対に「がんがコレステロール値を下げている」、または肝硬変のように何らかの要因が「コレステロール値の低下」と「がん」の両方を引き起こしているケースがあります。現在の主要ながん予防ガイドラインや専門家団体は、低コレステロール血症を主要ながん危険因子として位置づけていません。
メディアでは、不正確でも意外性のある医療情報が人気ですが、「医師が言っているから正しい」と受け取るのではなく、その主張が専門家の間で広く支持されているのか、公的機関や学会の見解と整合しているのかを確認することが大切です。根拠のあるがん予防法を知りたいなら、国立がん研究センターの「科学的根拠に基づくがん予防法」がおすすめです(※5)。ぜひ一度、読んでみてください。
※4 Serum cholesterol levels and cancer mortality in 361,662 men screened for the Multiple Risk Factor Intervention Trial - PubMed
※5 国立がん研究センター「科学的根拠に基づくがん予防法」