大作映画で「ギデンズ・コー節」を守り抜く
これほどの大作映画ながら、ギデンズは従来の作風をまったく譲っていない。根底に流れるエモーショナルな人間ドラマだけでなく、バカバカしいユーモアやゴア表現、そして悪趣味な演出も健在……どころか、これまで以上にパワーアップしているのだ。
市場における商業性と、純度の高い作家性を、これほどの水準で両立している映画監督は、いまや世界中を見渡しても稀有ではないか。そう話すと、ギデンズは「本当に幸運だと思っています」と話した。
「創作のプロセスではさまざまな声があがりますが、かなり自分を尊重してもらえたと感じています。キャスティングにはいろんな意見が出ましたが、物語についてはほとんど一任してくれました。ですから、大規模の商業映画ながら、とても作家性の強い映画であることは確か。もちろん、製作費の20%を自分が出したこともありますが(笑)」
『ギデンズ・コーの功夫』という映画の核心を、ギデンズは「信じること」だと語った。その姿勢は、自身が2001年に原作小説を執筆した当時にまでさかのぼる。
「小説を書いたとき、自分が大好きだった、古典的な中華武侠のキャラクターたちをどんどん放り込んでいきました。まるで、『ドラゴンボール』や『ONE PIECE』のキャラクターを勝手に登場させるような感覚です」
もっとも映画化にあたっては許諾を得なければならず、それが脚色のうえでは登場人物を取捨選択する基準になったそう。ギデンズのポップカルチャーをこよなく愛する気質も、この物語にはしっかりと反映されている。
「カルチャーを愛する人が、ただ好きなのではなく、それらが現実にあると信じる……。日本でもそういうことはあるでしょうし、僕自身も子どもの頃、ずっとかめはめ波を出せるのではないかという気がしていました(笑)。ある人物は、物語を信じれば信じるほど超人的な能力を得てゆく。僕は、これこそが映画の魔力だと思っています」

