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一連の騒動の「勝者」
なぜ、業績が厳しいその時期に、14億円を使って自社株を買う必要があったのか。奇妙なことにこの買い付けは、対立していたはずの大塚勝久・前会長がせっせと保有株を売却していた時期と重なるのである。創業者だった勝久氏は保有していた350万株をほぼすべて売却したとみられるほか、大塚家の資産管理会社である「ききょう企画」に譲渡していた株式の代金15億円も回収している。
いずれも娘の久美子社長との対立の中で実行されたものだが、勝久氏は総額60億円ものキャッシュを手に入れたとみられている。ビジネスモデルが限界となり、もはや成長が見込めなかった会社の株式の現金化に見事に成功したのである。一族間の対立に見えた大塚家具の騒動の勝者は、実は“大塚家”だったというのが事の真相、というわけである。
このたび「文藝春秋」10月号に寄稿し、大塚家を二分した一連の騒動をふりかえりつつ、真の勝者は誰か、誰が本当の被害者なのかを検証した。大塚家具はこれからいったいどうなるのか。あわせてお読みいただきたい。
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