「現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる」。大塚家具が8月14日に公表した2018年第2四半期(4-6月期)に添付された監査法人による四半期レビューにそんな「強調事項」の一文が付いた。いわゆるゴーイング・コンサーンと呼ばれるもので、経営破綻の危険性を投資家に注意喚起するものだ。父会長と娘社長の間で経営権を巡ってバトルが繰り広げられた、あの大塚家具が断末魔に陥っている。
メーンバンクが融資をしない?
ほんの3年前まで、大塚家具は多額の現預金を持つキャッシュ・リッチな会社だった。「現金及び現金同等物の期末残高」は2014年末で115億円。それが2017年末で18億円にまで激減した。今年の12月期も34億2600万円の最終赤字を見込んでおり、このままではキャッシュが足りなくなってしまう。そんなリスクを監査法人が指摘しているわけだ。
大塚家具はいざというときに銀行から借金ができる枠である「コミットメントライン」を契約しているので、資金繰りは大丈夫だとしているが、メーンバンクの三井住友銀行から、実際の融資は実行しない旨、通告されているという噂も飛び交う。「文藝春秋」編集部が三井住友に確認したが、「個別案件は答えられない」(広報部)という型通りの回答で、真偽は不明。しかし、大塚家具は出資してくれる相手を探す「身売り」交渉に乗り出している、と報じられている。
しかし、なぜ115億円ものキャッシュが「消えた」のか。
2016年に最終赤字45億円、2017年に同72億円という巨額の赤字を計上したことが主因であることは間違いない。だが、同時に2015年と2016年にはそれまで40円だった年間配当を80円に倍増させたほか、2017年には巨額の赤字にもかかわらず40円の配当を実施、社外に資金を流出させた。それだけではない。2016年には100万株の自社株を市場で買い付けている。