今後の世界を考える重要な鍵

 イラン攻撃は、アメリカ外交の分析を重ねていけば理解はできる。トランプ政権は国際法・ルールに縛られないこと、そして米国の中にある強硬論や利害関係との連動を重視するためだ。だが、理解できることと、事前に備えられることは違う。

 ここに思考の難しさがある。攻撃開始前にも幾つかのシナリオは考えられた。しかし、その中でも最悪の、斬首作戦(指導者の暗殺等)という最もハードな状況から始まるシナリオに備えることは容易ではなかった。

モジタバ師 ©時事通信社

 トランプ大統領による決断が今回は鍵を握った。大胆な決定は、時に予想外に良い結果をもたらす。トランプ外交の全てを否定する必要はない。しかし、少なくともイラン戦争の決断はそうした結果をもたらさなかった。彼は、明らかに短期で終わると考えていた戦争の長期化に苦しんだ。イランとの合意内容は、イランの現体制の存続を認め、制裁を止める一方で、引きかえに得るものに乏しく、この戦争の意味に大きな疑問を残した。

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 この一連の出来事は、私たちに今後の世界を考える重要な鍵を教えている。

 その鍵とは何か。悪いシナリオが起きたとき、それで終わりではないと考えることだ。悪いシナリオは、さらに悪いシナリオを呼び込む。だからこそ従来のリスク管理を超え、突拍子無くも聞こえる最悪の展開を想定する。救いようのないシナリオを考え、悪いシナリオをさらに悪化させる思考実験を行う。それは危機を煽るためではない。備えるためである。

※本記事の全文(約10000字)は、月刊「文藝春秋」8月号と、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(佐橋亮「元には戻らない世界のなかで」)。 全文では、下記の内容をお読みいただけます。
・米中「安定」という危険
・私たちが心配すべき台湾、経済、言葉
・米中はAIで手を握るのか

文藝春秋

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元には戻らない世界のなかで

出典元

文藝春秋

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