新聞の社説は、日頃は退屈な読み物かもしれない。「Aについては理解できる面もある。しかし……」そんな予定調和の論理展開が多い。違いがあるとしても、政府寄りかどうか、その濃淡くらいだ。
ところが、皇室典範改正法が成立した翌日の7月18日付朝刊は違った。
読売、朝日、日経、毎日の4紙は改正に明確な反対を表明した。一方、全面的に歓迎したのは産経新聞だけだった。しかも産経は社説を通常の論説面ではなく1面に掲載した。それだけ今回の改正を歴史的成果と位置付けていることがうかがえる。
「皇統を守る成立を歓迎する 静謐な環境で養子縁組実現を」と題した社説は、冒頭からこう書く。
「国の始まりから現代まで途切れることなく続く皇統を、これからもお守りしていく内容だ。成立には極めて大きな歴史的意義がある。高く評価したい」
さらに、旧宮家からの養子縁組についても、「確実に実現していくため、高市早苗政権は全力を尽くしてもらいたい。宮内庁だけに任せず、首相直轄で対応すべきだ」と主張した。
ここには、大きな違和感がある。国会審議で法案説明に立った木原稔官房長官は、養子縁組について「養子と養親双方の自由な意思に基づいて行われる。恣意的要素には当たらない」と繰り返し説明した。
政府が養子縁組を主導したり、事実上促したりすれば、個人の自由意思を保障する憲法や民法との関係が問題になる。だからこそ政府は、政治の介入を明確に否定してきた。
それにもかかわらず、産経は「首相直轄で対応すべきだ」と踏み込む。自らの主張に沿った制度改正が実現した高揚感ゆえなのかもしれないが、政府答弁より一歩先へ進み、政治主導による養子縁組を求めるかのような主張である。
社説はさらに続ける。
「皇位と皇族の継承の最重要原則(男系継承)を、たまたま今生きている世代が思い付きで破ってはならない」
つまり、他の4紙が主張するような女性・女系天皇論は「今の世代の思い付き」にすぎないという意味だ。
◇◇◇
この続きでは、ともに法改正に反対した読売、朝日の紙面とも読み比べながら、皇室問題を通じて各メディアのスタンスを分析している。「週刊文春 電子版」で配信中。
文藝春秋が提供する有料記事は「週刊文春電子版」「Yahoo!ニュース」「LINE NEWS」でお読みいただけます。
※アカウントの登録や購入についてのご質問は、各サイトのお問い合わせ窓口にご連絡ください。



