トランプ・ネタニヤフには現実が見えていなかった
昨年の「12日間戦争」について、私は本誌2025年9月号でこう指摘していました。
〈トランプとネタニヤフは、「イラン攻撃は体制転換も目的だった」として、最高指導者ハメネイ師の暗殺までほのめかしましたが、この発言から、イランの現実がまったく見えていないことが分かります。
リビアの政権はカダフィの死によって崩壊し、イラクの政権もサダム・フセインの軍事的敗北によって崩壊しました。しかし、いずれもアラブ諸国の特徴として、「脆弱な政治システム」しか有していなかったのです。ペルシア系でシーア派のイランは、これとは根本的に異なる社会です。仮にハメネイ師が暗殺されても、イランの国家体制が崩壊することなどあり得ないのです〉
分厚いエリート層と彼らが共有する「愛国心」が国家としてのイランを支えています。西側諸国の高学歴エリートが「個人を超えた価値観」を見失い、ナルシシズムとニヒリズムに陥っているのとは対照的に、イランやロシアのエリートは「集団への帰属意識および責任感」と「強固な愛国心」を保持しているのです。今日において、このような健全な「愛国心」は、単なる精神論にとどまらず、国家の重要な“資源”として機能しています。
※本記事の全文(約15000字)は、月刊「文藝春秋」8月号と、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(エマニュエル・トッド「日本の米追従は自殺行為だ」)。 全文では、下記の内容をお読みいただけます。
・イランの「離陸(テイクオフ)」の世界史的意味
・「理性的な独裁」と「非合理的なリベラル」
・戦争の継続そのものがウクライナ国家の存在理由に
